平方根(読み)へいほうこん

精選版 日本国語大辞典 「平方根」の意味・読み・例文・類語

へいほう‐こん ヘイハウ‥【平方根】

〘名〙 二乗してaとなるような数のaに対する称。正数aの平方根は二つあり、それらは絶対値が等しく、符号が反対である。正数aの正の平方根を√a 負の平方根を-√aと書く。二乗根。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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デジタル大辞泉 「平方根」の意味・読み・例文・類語

へいほう‐こん〔ヘイハウ‐〕【平方根】

2乗してaになるような数のaに対する称。aの平方根は正・負二つあり、正の平方根は、(ルートa)と書く。√は根号とよび、root(根)のrの変形。二乗根。自乗根

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「平方根」の意味・わかりやすい解説

平方根
へいほうこん

aが与えられたとき、二乗(平方)してaとなる数、つまり、x2aとなる数xaの平方根という。aが正の数のときは、aの平方根は正の数、負の数それぞれ一つずつあり、その絶対値は等しい。そして、正のほうを、と書く。は、ルートaと読む。負のほうは、-で表される。したがって、このとき、aの平方根は、±とまとめられることになる。たとえば、2の平方根は、と-で、±とまとめられる。この場合、記号を、根号(または平方根号)という。0の平方根は0だけである。また、負の数の平方根は、実数でなく、虚数である。たとえば-2の平方根は、iと-iである(i虚数単位で、のこと)。

 正の整数の平方根について考える。a平方数、つまり、ある正の整数nの平方の形n2と書かれる数であるときは、nに等しい(たとえば =2)。しかし、aが平方数でないとき、有理数になることはけっしてなく、無理数になる。つまり、有限小数分数で表されることはなく、循環しない無限小数になる(たとえば=1.41421356……)。正方形の一辺の長さを1とすれば、対角線の長さはと表されるが、が無理数であることを古代ギリシア人はすでに知っていた。それは、ユークリッドの『原論』にみられる。

 正の数の平方根について考えているとき、根号はつねに正の数を表す。これが根号の規約である。すると、a>0のときaであるが、a<0のときa2>0であって、=-aとなる。

 平方根号の中に平方根が含まれることがある。たとえば、

である。このような場合、一般には、二重の平方根号を外すことはできないが、外すことのできる場合がある。abが正の整数、が無理数のとき、

となる正の有理数xyは、a2bが有理数の平方の形になるときにだけ存在する。たとえば、

では、22-3=1=12で、

となる。しかし、

の平方根号は、外すことができない。

[三輪辰郎]


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改訂新版 世界大百科事典 「平方根」の意味・わかりやすい解説

平方根 (へいほうこん)
square root

2乗してaとなる数をaの平方根,または2乗根という。

(1)aが正の数のとき,aの平方根は実数で,二つあり,一つは正,もう一つは負で,それらの絶対値は等しい。正の平方根を\(\sqrt{a}\)で表す。

(2)aが0のとき,0の平方根は0である。

(3)aが負の数のとき,aの平方根は二つの純虚数で,と-\(\sqrt{|a|}\)iiは虚数単位,i2=-1)である。を\(\sqrt{a}\)で表すこともある。

(4)αが0でない複素数のとき,αの平方根は,複素数の範囲で二つあり,その一つがabiabは実数)ならば,他の一つは-(abi)である。

正の数aの平方根を求めることをaを平方に開く,またはaを開平するといい,その計算の方法を開平法という。開平法は,すでにアルキメデス著書にも見られるが,現在行われている開平法は,16世紀になって見いだされた。この開平法は,平方の公式(xy2x2+2xyy2を利用する。すなわち,aを正の数とするとき,

(1)2乗すればaより小で,aに近い正の数b1をとる。

(2)\(\sqrt{a}\)-b1c>0とすれば,ab12+2b1cc2である。ここでcb1に比べて小さいから,c2を無視することにより,となる。

(3)そこでに近く,これより小さい正の数c1をとる。b2b1c1とすれば,b2b1よりさらに\(\sqrt{a}\)に近づく。

(4)次に,b1の代りにb2を用い,(2),(3)の操作を行いb3を求める。

(5)以下,(2),(3),(4)を繰り返し,b4b5,……を求めていけば,n回目にbn=\(\sqrt{a}\)となるか,nが大きくなるにつれ,bnは限りなく\(\sqrt{a}\)に近づく。

 例えば,a=552.25のとき,上の(1)~(5)の操作は,図のように図式的に計算できる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平方根」の意味・わかりやすい解説

平方根
へいほうこん
square root

実数 a に対して,x2a を満たす実数 xa の平方根と呼ぶ。a が正数のとき a の平方根は正数であるものと負数であるものの二つが存在し,このうち正の方を√a で表す。0の平方根は 0である。たとえば,√2=1.41421356…,√3=1.7320508075…であり,これらは循環(→循環小数)しない無限小数で表され,無理数となる。a が負数のとき a の平方根は実数の範囲では存在しない。負数の平方根は,考える数の範囲を複素数にまで広げると定義することができる。-1の平方根の一つを i で表し,虚数単位(→虚数)と呼ぶ。複素数についても平方根の概念を次のように拡張できる。0でない複素数 z極形式で表して,

zr(cosθi sinθ)(r>0,-π<θ≦π)

とすると,は 2乗すると z になる複素数の一つである。有理数から出発して,その平方根をとる操作および加減乗除(→四則)の操作を繰り返して得られる数は,定規とコンパスで作図することができる数である。たとえば黄金比(→黄金分割)の は,定規とコンパスで作図できる。このことから,正五角形は定規とコンパスで作図できることがわかる。

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百科事典マイペディア 「平方根」の意味・わかりやすい解説

平方根【へいほうこん】

2乗してaとなる数をaの平方根または2乗根という。aが0でなければ平方根は二つあり,一方をbとすれば他方は−bとなる。a>0のとき正の平方根を(式1)と書く。→平方開平

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