(読み)いく

精選版 日本国語大辞典 「幾」の意味・読み・例文・類語

いく【幾】

〘接頭〙 主に名詞の上に付く。時には形容詞の上に付くこともあり、また、この形に接尾語が付いて副詞をつくることもある。
① 数、量、時間、程度などが不明あるいは不定であることを表わす。いくらかの。どのくらいの。どれほどの。
古事記(712)中・歌謡新治 筑波を過ぎて 伊久(イク)夜か寝つる」
② 数、量、程度などの多いこと、はなはだしいことを表わす。いくらもの。多くの。
俳諧ひさご(1690)「秋入初(いりそむ)肥後隈本正秀幾日路も笘(とま)で月見る役者船〈珍碩〉」
③ 「いく」と複合してできた名詞または副詞に助詞「も」が付き、その下に否定の語がきた場合は、その名詞または副詞のあらわす数、量、程度などが、たいしたものではないことを示すことがある。どれほどの。たいした。
万葉(8C後)八・一五五五「秋立ちて幾(いく)日もあらねばこの寝ぬる朝開(あさけ)の風はたもと寒しも」
[補注]本来、数詞として不定数を表わす。単位となるような数詞、十(そ)や千(ち)など、また助数詞「つ」「日(か)」「年(とせ)」「人(たり)」など、およびこれに類する名詞などがつく。あるいはまた、接尾語「ら」「だ」「ばく」などを伴って副詞をつくる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「幾」の意味・読み・例文・類語

き【幾】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]いく
〈キ〉
比較的小さな数について問う語。いくつ。「幾何きか
少しずつ。それとなく。「幾諫きかん
(「」と通用)細かいきざし。「幾微」
こいねがう。「庶幾
〈いく〉「幾重いくえ幾多幾度幾年幾人幾分
[名のり]おき・ちか・ちかし・のり・ふさ
難読幾何いくばく幾許いくばく庶幾こいねが丁幾チンキ

いく【幾】

[接頭]名詞に付く。時には形容詞に付くこともある。また、接尾語が付いて副詞をつくることもある。
数量の不明・不定の意を表す。「人」「日」
数量の多い意や年月の長い意を表す。「千万」「千代」「久しく」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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