広瀬川(読み)ヒロセガワ

デジタル大辞泉 「広瀬川」の意味・読み・例文・類語

ひろせ‐がわ〔‐がは〕【広瀬川】

宮城県中西部を流れる川。山形県との県境の関山峠斜面に源を発し、東流して仙台市名取川に合流する。長さ45キロ。200種類以上の野鳥が観察され、上流には作並温泉がある。

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精選版 日本国語大辞典 「広瀬川」の意味・読み・例文・類語

ひろせ‐がわ ‥がは【広瀬川】

[一] 宮城県中部を流れる名取川の支流。奥羽山脈の関山峠の付近に発し、河岸段丘に仙台市を発達させて名取川に合流。上流部に作並温泉などがある。全長約四〇キロメートル。
[二] 群馬県中南部を流れる利根川の分流。勢多郡北橘村で利根川から分かれ、前橋市を流れて、伊勢崎市で再び利根川に合流。中世以前の利根川上流の流路の一つと考えられ、古くは比刀禰(ひとね)川と呼ばれた。

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日本歴史地名大系 「広瀬川」の解説

広瀬川
ひろせがわ

宮城郡宮城町から仙台市へと流れる川。山形県境の関山せきやま峠付近に源を発し、大倉おおくら川・よこ川・芋沢いもざわ川などを合せ、宮城町の作並さくなみくま愛子あやし郷六ごうろくを経て仙台市放山はなれやまに達し、市街地を北から東へ、さらに南へと流れ、日辺につぺ付近で一級河川名取川と合流する。流域面積三一一平方キロ、流路延長四五キロ。「封内風土記」に源は現宮城町の大倉村巨舟おおふね山とあり、川沿いの地名をとって、愛子川・郷六川とよばれ、また仙台城下のうちは仙台川とも称された。また奥州道中絵図(木目沢伝重郎家蔵)では水無瀬みなせ川とある。「吾妻鏡」文治五年(一一八九)八月七日条に「名取広瀬両河引大縄、柵」とあり、奥州合戦の際、平泉藤原氏の軍勢は当地でも源頼朝軍に対したことが知られる。また南北朝期の観応二年(一三五一)にも合戦場となり、これにより南朝方の北畠顕信側は一時的にしろ陸奥国府を奪回している(同三年一〇月二九日「吉良貞家披露状」白河文書など)

中流の熊ヶ根付近から河岸段丘が形成され、仙台市内では牛越うしごえ橋から下流にとくに河岸段丘の形成がみられる。青葉山あおばやま台原だいのはら仙台上町せんだいかみまち・仙台中町・仙台下町の各段丘がそれで、藩祖政宗が建設した仙台城を中心とする仙台城下は、これらの段丘上に築かれた。

広瀬川
ひろせがわ

曾我川と葛城川が合して大和川に入る辺り、西岸の広瀬神社(北葛城郡河合町)付近と思われるが、大和川本流とする説もある。

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改訂新版 世界大百科事典 「広瀬川」の意味・わかりやすい解説

広瀬川 (ひろせがわ)

宮城県中部を東流する名取川最大の支流。流路延長44km。奥羽山脈の関山峠(594m)に発し,愛子(あやし),郷六の小盆地を連ね,仙台市街地の西縁を流れて,市の南東部で名取川に合流する。上流部に作並温泉,支流大倉川上流部に定義(じようぎ)温泉(単純泉,36~38℃)がある。各盆地では20~30mを切り込んで流れ,河岸段丘が発達する。愛子盆地から下流は安山岩地域を切って流れ,両岸に地すべり地形が発達する。仙台市街主要部は広瀬川左岸の段丘上に展開し,右岸の段丘と青葉山の丘陵端は青葉城址で,広瀬川は外堀の役割をもっていた。青葉城南側には丘陵をうがつ小支流の竜ノ口峡谷がある。仙台市南部の太白(たいはく)区長町から下流の扇状地は近郊農業地帯,工業用地であったが,近年は住宅地化が著しい。大倉川にはダブルアーチ型の大倉ダムが建設され,仙台,塩釜の上水道,工業用水道源になっている。川沿いに仙山線,国道48号線が通じる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「広瀬川」の意味・わかりやすい解説

広瀬川
ひろせがわ

宮城県中部を流れる名取川(なとりがわ)最大の支流。山形県境の関山峠(せきやまとうげ)に源を発し、東流して愛子(あやし)盆地、仙台市街を経て仙台市若林区日辺(にっぺ)付近で名取川と合流する。延長約40キロメートル。愛子盆地と仙台市街には河岸段丘がみられる。川に並行して国道48号、JR仙山(せんざん)線が通じる。1189年(文治5)の奥州征伐の際の合戦場であり、1351年(正平6・観応2)には南朝方と北朝方が川を挟んで戦った。近世には仙台青葉城の天然の外堀として利用され、また郷六(ごうろく)(仙台市)で取り入れた水が四谷堰(よつやぜき)として城下を流れていた。1886年(明治19)に完成した三居沢発電所(さんきょざわはつでんしょ)は広瀬川の水を利用した東北地方で最初の水路式発電所である。上流部には作並(さくなみ)温泉、支流の大倉川に大倉ダム、定義(じょうげ)温泉がある。

[後藤雄二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「広瀬川」の意味・わかりやすい解説

広瀬川
ひろせがわ

宮城県中部,名取川の最大の支流。全長 45km。奥羽山脈の面白山 (1264m) に発し,中流部の愛子 (あやし) 盆地で船形山から南流する大倉川を合す。数段の高い河岸段丘をもつ愛子,郷六の小盆地を経て,仙台市を流れ,名取川に注ぐ。仙台の中心市街地は,左岸の段丘上に広がり,右岸の段丘と丘陵上に青葉城があって,川は城の外堀の役を果してきた。上流部には作並温泉がある。広瀬川の支流大倉川中流に大倉ダム,上流に定義温泉があり,船形連峰県立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「広瀬川」の意味・わかりやすい解説

広瀬川【ひろせがわ】

宮城県中部の川。奥羽山脈の面白(おもしろ)山に発し,仙台市街を流れて名取川に合流。《吾妻鏡》に広瀬河とみえ,江戸時代には仙台川などとも称した。河岸段丘が発達し,仙山線がその段丘上を走る。支流の大倉川上流には大倉ダムがあり,仙台市・塩竈市の上水道・工業用水に利用。上流に作並(さくなみ)温泉がある。

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事典・日本の観光資源 「広瀬川」の解説

広瀬川

(宮城県仙台市青葉区・若林区・太白区)
21世紀に残したい日本の自然100選」指定の観光名所。

広瀬川

(宮城県仙台市青葉区・若林区・太白区)
名水百選」指定の観光名所。

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デジタル大辞泉プラス 「広瀬川」の解説

広瀬川

宮城県仙台市を流れる一級河川。名取川の支流。1985年、環境庁により名水百選のひとつに選定された。

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世界大百科事典(旧版)内の広瀬川の言及

【仙台[市]】より

…人口97万1297(1995)。奥羽山脈の東側に続く第三紀丘陵の東端,仙台平野(仙南平野)の西縁に位置し,市街地主要部は広瀬川の形成した数段の河岸段丘上に展開する。奈良時代,北方の多賀城(現,多賀城市)に陸奥国府と鎮守府が設けられ,仙台には陸奥国分寺および国分尼寺が建立された。…

※「広瀬川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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