(読み)かならず

精選版 日本国語大辞典 「必」の意味・読み・例文・類語

かならず【必】

〘副〙
事実について認定し、行為を命じ、あるいは判断を下すにあたって、間違いなくその事実が認定でき、行為が実行され、判断が成立することへの、確言強制確信を表わす。間違いなく。確実に。たしかに。きっと。必ずとも。必ずも。必ずや。
書紀(720)斉明四年五月(北野本訓)「万歳千秋の後に、要(カナラス)朕が陵に合せ葬れ」
源氏(1001‐14頃)桐壺「この人の宮づかへの本意(ほい)、かならず遂げさせ奉れ」
咄本・軽口露がはなし(1691)一「よそにて左様の言(こと)をかならず申されな」
② 特に、否定表現を伴って、確言、強制、確信が、絶対的ではないことを表わす。絶対に…(というわけではない)。きっと(…とは限らない)。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「かならずその故たづねて、うちとけ御覧ぜらるるにしも侍らねど」
徒然草(1331頃)六四「車の五緒(いつつを)は、必人によらず、ほどにつけて、きはむる官・位に至りぬれば、乗るものなり」

ひっ‐・する【必】

[1] 〘自サ変〙 ひっ・す 〘自サ変〙 必ずそうなるに決まっている。そうなることうけあいである。
俳諧去来抄(1702‐04)故実名月に明の字書まじき事、必せり
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「その間成就すべき望も、必し(〈注〉ウケアヒ)がたく」
[2] 〘他サ変〙 ひっ・す 〘他サ変〙 心中に固く決心する。必ずそうなると決める。期する。
太平記(14C後)二〇「拉(とりひしがんこと)大敵於隻手中(ヒッセリ)矣」

ひつ【必】

〘名〙 間違いでないこと。仮でないこと。かならずそうであること。
※俳諧・芭蕉真蹟懐紙(1685)酒に梅「慈童が水に徳をあらそはん事、必とせり」

ひっ‐・す【必】

〘自他サ変〙 ⇒ひっする(必)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「必」の意味・読み・例文・類語

ひつ【必】[漢字項目]

[音]ヒツ(漢) [訓]かならず
学習漢字]4年
きっとそうなること。間違いなく。「必死必至必勝必定ひつじょう必然/未必」
かならずそうすべきこと。是非とも。「必携必見必需必修必須必着必読必用
[名のり]さだ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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