戴恩記(読み)タイオンキ

デジタル大辞泉 「戴恩記」の意味・読み・例文・類語

たいおんき【戴恩記】

江戸前期の歌学書。2巻。松永貞徳著。正保元年(1644)ごろ成立。天和2年(1682)刊。著者の師事した細川幽斎里村紹巴らの故事やその歌学思想を平易に述べたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戴恩記」の意味・わかりやすい解説

戴恩記
たいおんき

江戸初期の歌学書。二巻二冊。松永貞徳(ていとく)著。1644年(正保1)前後成立、1682年(天和2)京都永田長兵衛刊。別名『歌林雑話集』『歌道戴恩記』『貞徳翁戴恩記』。貞徳が自己の生涯を回顧し、個々の話柄に即して師の貴さを説いたもので、一面追憶的な自伝的要素も多い。貞徳が師として教えを受けた人は五十余人に及ぶといい、なかでも若年よりの歌学の師九条稙通(たねみち)や細川幽斎(ゆうさい)についてはとくに詳しく、中院通勝(なかのいんみちかつ)や連歌の師里村紹巴(じょうは)についても詳しい。政治史、社会史の断想としても有益である。

森川 昭]

『小高敏郎校注『日本古典文学大系95 戴恩記他』(1964・岩波書店)』

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