技能検定(読み)ぎのうけんてい

改訂新版 世界大百科事典 「技能検定」の意味・わかりやすい解説

技能検定 (ぎのうけんてい)

労働者の技能水準の向上と社会的地位の確保を目的として,彼らのもつ特定の技能の水準を検定し,認定する制度。職業に関する公的資格の賦与を目的とする資格試験とは区別される。日本の技能検定には,民間団体によるものと職業能力開発促進法(職業訓練法を1985年改正)に基づくものとがある。一般に民間の技能検定には実施主体,検定の種類や内容,認定結果の表示等に法的規制がないので,なかには社会的に通用しがたいものもある。

 職業能力開発促進法による技能検定は,国,都道府県,またはその委嘱する職業能力開発協会(旧,技能検定協会)が実施する。実務経験の年数に応じて特級から3級まで,および基礎1級または基礎2級の等級に区分される職種と,等級を区分せず単一等級とする職種があり,いずれも試験は学科実技につき実施され,その合格者は〈技能士〉と称することができる。1997年現在,133職種について実施されている。西欧諸国では,徒弟制度崩壊後も労働者の職業上の技能水準を認定する職業資格制度が発達し,その資格を賃率決定の要素とする慣行があるので,技能の習得・検定に対する関心は高い。日本ではこの種の慣行がほとんどなく,技能検定制度に対する社会的評価も定まっていない。
資格制度 →職業訓練
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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