捕獲審検所(読み)ホカクシンケンショ(英語表記)prize court

翻訳|prize court

デジタル大辞泉 「捕獲審検所」の意味・読み・例文・類語

ほかく‐しんけんしょ〔ホクワク‐〕【捕獲審検所】

交戦国が、海上における捕獲効力有無を確定するために設ける特別の裁判所

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精選版 日本国語大辞典 「捕獲審検所」の意味・読み・例文・類語

ほかく‐しんけんじょ ホクヮク‥【捕獲審検所】

〘名〙 捕獲②の効力を確定するために、交戦国が設けた特別な裁判所。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「捕獲審検所」の意味・わかりやすい解説

捕獲審検所
ほかくしんけんじょ
prize court

戦時において海上捕獲の効力を確定するために設置される交戦国の特別の裁判所。敵の船舶、その積み荷、ならびに中立国の船舶、その積み荷は、一定の場合に交戦国が捕獲することができる。しかし、これらの捕獲は、交戦国軍艦が拿捕(だほ)することによってただちに効力を生じるのではなく、捕獲審検所の行う裁判、すなわち検定によって初めて効力が確定する。そこで交戦国は国内法によって、このような審検所を設置すべき義務を負う。わが国も第二次世界大戦に際して、横須賀(よこすか)と佐世保(させぼ)に第一審の捕獲審検所を、東京に第二審の高等捕獲審検所を設置していた。捕獲審検所は国内機関であるから、かならずしも公平を期しがたい。1907年にハーグ平和会議で、その上級の審検所として国際捕獲審検所を設置する条約が採択されたが、結局のところ流産に終わった。

[石本泰雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「捕獲審検所」の意味・わかりやすい解説

捕獲審検所
ほかくしんけんじょ
prize court

海上捕獲の効力を確定するために交戦国が国内法に基づいて設置する特別裁判所。戦時において捕獲した船舶,積荷は,捕獲審検所の裁判 (検定) によって初めて捕獲の効力を生じ没収される。この審検所の組織権限,適用法規などは,各国の国内法によって規定されるため,必ずしも公平な裁判は期待できない。 1907年ハーグ平和会議で各国の捕獲審検所の上級審として国際捕獲審検所の設置が企てられ,敵国民や中立国民も出訴できるという点で注目されたが,適用する法規 (ロンドン宣言) の確定に失敗し実現をみなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の捕獲審検所の言及

【捕獲】より

…拿捕した船や貨物は,交戦国の港に引致し,捕獲審検手続によって,捕獲没収か解放かを検定する。捕獲審検所は一種の国内裁判所であり,国内法に従って検定を行うが,その国内法は通常,国際法にのっとって制定される。日本では,日清戦争以来,戦時に限って横須賀や佐世保に捕獲審検所,東京に高等捕獲審検所が設けられた。…

※「捕獲審検所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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