描出(読み)えがきだす

精選版 日本国語大辞典 「描出」の意味・読み・例文・類語

えがき‐だ・す ヱがき‥【描出】

〘他サ五(四)〙
言語絵画などによって、物事や考えを表現する。また、表現しはじめる。
※薤露行(1905)〈夏目漱石〉四「床しからぬにもあらぬ昔の、〈略〉忽然と容赦もなく描き出されたるを堪へ難く思ふ」
② 物事を想像によって、心の中に思い浮かべる。また、思い浮かべはじめる。
幻影の盾(1905)〈夏目漱石〉「ヰリアムは見えぬ所を想像で描き出す」
③ 比喩的に、光などが物事に影響を与えて、ある特別な状態を表わす。また、表わしはじめる。
※雲は天才である(1906)〈石川啄木〉一「新らしき一陣の殺気颯(さっ)と面を打って、別箇の光景をこの室内に描き出したのである」

びょう‐しゅつ ベウ‥【描出】

〘名〙 言語や絵画によって、物事や考えをえがき表わすこと。
※『歌念仏』を読みて(1892)〈北村透谷〉「写実とは云へども、〈略〉人間の獣慾を惟一目的として描出(ビョウシュツ)するの謂にあらず」

えがき‐いだ・す ヱがき‥【描出】

〘他サ四〙 =えがきだす(描出)
小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「此人の世の因果の秘密を見るがごとくに描(ヱガ)きいだして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「描出」の意味・読み・例文・類語

びょう‐しゅつ〔ベウ‐〕【描出】

[名](スル)物事のありさまや考えなどを、絵画・文章にえがきだすこと。「心の内面描出する」
[類語]描写写実実写点描表現パノラマ象る写す描き出す活写直写写生スケッチ表出表白発現形象化体現具現表明筆舌表す言い表す書き表す名状する形容する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android