デジタル大辞泉
「星月夜」の意味・読み・例文・類語
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ほし‐づきよ【星月夜】
〘名〙
① 星の明るい晩。月が出ていないで、星だけが輝いている夜。
星明りの夜。《季・秋》
※狭衣物語(1069‐77頃か)四「ほし月夜のたどたどしきに
烏帽子のきと見えたるに心惑ひし給ひて」
※永久百首(1116)雑「我ひとりかまくら山を越行は星月夜こそうれしかりけれ〈
肥後〉」
② 「暗」と同音の「倉」を含む「鎌倉」にかかる修飾語。主として謡曲で枕詞ふうに用いられた。
※謡曲・調伏曾我(1480頃)「
箱根詣でのおんために、明くるを待つや星月夜、鎌倉山を朝立ちて」
③
地名「鎌倉」、あるいはそれに縁のある「鎌倉将軍」(源頼朝)、「松ガ岡」(東慶寺)などを暗示的に表わす。
※北国紀行(1487)「今もなほ星月夜こそ残るらめ寺なき谷の闇の
ともしび」
[語誌]歌語としての初出は①の挙例「永久百首」の肥後の作で、これは意図的に珍しい語を用いたもの。しかし、「
夫木和歌抄」にも採られたこの歌の影響は大きく、
連歌では付合
(つけあい)で「鎌倉山」に縁のあることば(
寄合)となり(一条兼良「連玉合璧集」)、謡曲では②のように「鎌倉」の飾り詞として用いられるようになる。これは、平安期には珍しい歌枕の
ひとつにすぎなかった「鎌倉」が、頼朝登場以降は重要地名となり、寄合・飾り詞の
需要が増したためでもある。
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