柏崎刈羽原発(読み)かしわざきかりわげんぱつ

百科事典マイペディア 「柏崎刈羽原発」の意味・わかりやすい解説

柏崎刈羽原発【かしわざきかりわげんぱつ】

東京電力柏崎刈羽原子力発電所。新潟県柏崎市と同県刈羽郡刈羽村にまたがる。1号から7号まで7機を持ち,1号機は1985年,2号機は1990年,3号機は1993年,4号機は1994年,5号機は1990年に運転を開始でいずれも沸騰水型軽水炉。6号機は1996年運転開始の改良型沸騰水型軽水炉。同じく改良型沸騰水型軽水炉である7号機が1997年に運転開始となり,世界最大の原子力発電所となった。2015年5月現在,全機定期点検中で稼働していない。2007年7月の新潟県中越地震で,2〜4号機,7号機が緊急自動停止し,発電所を全面停止した。耐震予測を超えた地震の発生,原子炉建屋内のクレーン損傷変圧器発火,施設内での微量な放射線漏れの検出などが起こり,重大事故に発展した可能性が指摘された。同年8月,国際原子力機関IAEA)が調査に入ったが,IAEAは被害は予想を下回ると報告した。2009年12月,7号機の運転を再開,2011年2月までに,6号機,1号機,5号機が運転再開している。同年3月,東日本大震災にともなう福島第一原発の大事故が発生,柏崎刈羽原発の安全性と危機対応にも強い疑問が出され,東京電力は原子炉建屋の防潮壁の設置や非常用電源確保などの対策を打ち出したが,防潮壁設置には年単位の時間がかかることもあり,柏崎市は2〜4号機の運転再開について同意していない。中越地震による原発危機に際し,〈柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会〉が発足,再稼働を前提にした調査を批判し,徹底的な調査と情報の提供を訴えている。原発立地が活断層を含む活褶曲(しゅうきょく)の真上にある,という地震学者の指摘も出された。2013年4月に示された原子力規制委員会の新基準案(同年7月施行)では,過酷事故対策,地震・津波対策について厳しい要求がなされており,原発直下に活断層の存在が認められれば建設そのものを禁止するとされた。東京電力は6号機,7号機の再稼働に向け原子力規制委員会に規制基準の適合審査を申請。敷地内などで断層調査を計画し,2014年2月原子力規制委員会は東京電力の計画が妥当であるか否か調査を開始した。柏崎刈羽原発の敷地内には,6,7号機のほか,複数の断層が原子炉建屋など重要施設の直下を走っている。これらの断層が12万〜13万年前以降に動いた活断層であれば,原発は再稼働できない。原子力規制委員会は審査の一環として活断層かどうかを詳しく調べる。東京電力はさらに追加の断層調査を行い,ほぼ終了したと明らかにしたが,原子力規制委員会は2015年3月,3度目の現地調査実施。調査終了後,原子力規制委員会は東京電力が地滑りによるものと主張している断層などについて疑問を示した。泉田裕彦新潟県知事は東京電力の再稼働申請は容認したものの,一貫して東京電力の福島第一原発事故検証が不十分として再稼働を認めていない。
→関連項目大飯原発刈羽[村]

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