桜間道雄(読み)サクラマミチオ

デジタル大辞泉 「桜間道雄」の意味・読み・例文・類語

さくらま‐みちお〔‐みちを〕【桜間道雄】

[1897~1983]能楽師シテ方金春流熊本の生まれ。桜間左陣桜間弓川師事巧緻こうち・艶麗な芸風と、独自な曲の解釈特色とした。

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改訂新版 世界大百科事典 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄 (さくらまみちお)
生没年:1897-1983(明治30-昭和58)

能楽師。金春(こんぱる)流シテ方。桜間林太郎(桜間伴馬(ばんま)の末弟)の次男。はじめ父に師事し,1913年上京後は伯父の伴馬について修業堅確な技術をもって早くから実力を評価されていたが,花開いたのは60年代以降で,伯父譲りの巧緻・艶麗な芸風に自己の研鑽と主張を積み重ね,高度な技術を有すると同時に,技術を超えた高い様式を獲得した。あらゆる曲趣に秀でていたが,とくに《定家》《江口》《西行桜》などが名演として知られ,老女物の秘曲檜垣(ひがき)》を2回,壮者の体力と集中力を要する《道成寺》を70歳と84歳で舞うなど,老いを感じさせぬ意欲と探求心を示した。1960年度・67年度芸術祭大賞,69年度芸術選奨文部大臣賞受賞。70年,重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)に認定された。著書に《能・捨心の芸術》。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄
さくらまみちお
(1897―1983)

能役者。金春(こんぱる)流シテ方。桜間林太郎の次男。熊本市生まれ。16歳で上京、伯父の桜間伴馬(ばんま)、従兄弟(いとこ)の桜間金太郎(後の弓川(きゅうせん))に師事する。同年生まれで、同じ熊本出身の名手本田秀男、桜間弓川亡きあと、磐石(ばんじゃく)の技術と独特の能の主張で能界に重きをなした。老女能『檜垣(ひがき)』を流儀に復興、三度演じ、84歳で『道成寺』を舞うなど、前人未到の業績を残した。1970年(昭和45)に重要無形文化財保持者に認定される。油絵をよくし、また武智(たけち)鉄二演出の『綾(あや)の鼓』(三島由紀夫作)、『絵姿女房』(矢代(やしろ)静一作)などにも出演している。著書に『能――捨心の芸術』がある。

増田正造

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百科事典マイペディア 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄【さくらまみちお】

能楽師。金春(こんぱる)流シテ方。熊本県生れ。桜間伴馬の甥。伯父および従兄の桜間弓川に師事。巧みな芸と,技術を超えた様式を確立し,新作能にも挑戦。旺盛な意欲をもち,晩年まで第一線で活躍した。1970年人間国宝。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「桜間道雄」の解説

桜間道雄 さくらま-みちお

1897-1983 大正-昭和時代の能楽師シテ方。
明治30年9月14日生まれ。金春(こんぱる)流。伯父桜間伴馬(ばんま)らにまなぶ。昭和30年三島由紀夫作・武智鉄二演出の「綾の鼓」に主演。45年老女物の秘曲「檜垣(ひがき)」を上演。同年人間国宝。昭和58年5月27日死去。85歳。熊本県出身。著作に「能―捨心の芸術」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄
さくらまみちお

[生]1897.9.14. 熊本
[没]1983.5.27. 東京
能楽師,金春流シテ方。桜間林太郎の次男。伯父の左陣および従兄の金太郎 (弓川) に師事した。 1914年『忠度』で初シテ。研究と工夫を積重ねた巧緻な芸風で知られた。 69年芸術選奨文部大臣賞受賞。 70年重要無形文化財保持者。著書に『能・捨心の芸術』 (1972) がある。

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