歌念仏(読み)うたねんぶつ

精選版 日本国語大辞典 「歌念仏」の意味・読み・例文・類語

うた‐ねんぶつ【歌念仏】

〘名〙 俗曲一種門付(かどづけ)芸の一つ念仏に節を付けて歌ったことから起こったもので、説経節浄瑠璃などからとった歌や文句伏鉦(ふせがね)に合わせて歌った。元祿享保年間(一六八八‐一七三六)に盛行。うたねぶつ。
評判記色道大鏡(1678)八「沙門説経をやつして、下僧のかたるを哥念仏(ウタネンブツ)といへり」

うた‐ねぶつ【歌念仏】

※俳諧・独吟一日千句(1675)追善発句「吊や我等子規迄歌念仏〈石斎〉 別て以後やもめ烏よいもせ鳥〈良賢〉」

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デジタル大辞泉 「歌念仏」の意味・読み・例文・類語

うた‐ねんぶつ【歌念仏】

江戸時代の俗曲の一。念仏に節をつけて歌ったもので、のちに説経節などの文句を取り、かねにあわせて歌う門付け芸となった。元禄年間(1688~1704)に流行。うたねぶつ。

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改訂新版 世界大百科事典 「歌念仏」の意味・わかりやすい解説

歌念仏 (うたねんぶつ)

念仏に節をつけて俗謡風に歌ったもので,《人倫訓蒙図彙》(1690)によると,菅笠をつけた僧形のものが,鉦鼓(しようこ)を首にかけて門付(かどづけ)をしている姿が描かれているが,これが歌念仏である。《竹豊(ちくほう)故事》(1756)に,寛文(1661-73)ころ歌念仏を得意とした日暮林清,林故,林達の名が見える。元禄から享保(1688-1736)にかけて浄瑠璃風に語るようにもなった。詞章としては近松の《五十年忌歌念仏》の中にお夏清十郎の歌念仏がある。
歌説経
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世界大百科事典(旧版)内の歌念仏の言及

【双盤】より

…直径40~60cmほどあり木製の枠に吊って撞木(しゆもく)で打つ。仏教ではおもに浄土宗で用いられ,とくに雲版,太鼓などとともに奏する揩定(かいじよう)念仏(六字詰(ろくじづめ)念仏,歌念仏)は有名である。また民衆の中に広まった静岡県の遠州大念仏などの念仏踊でも用いられる。…

※「歌念仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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