デジタル大辞泉
「正風体」の意味・読み・例文・類語
しょうふう‐てい〔シヤウフウ‐〕【正風体】
1 正しい風体。特に歌学で、伝統的な作風による品格の高い歌体。しょうふうたい。
2 近世の俳諧で、正しい俳風・風体。主として蕉風についていう。しょうふうたい。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しょうふう‐てい シャウフウ‥【正風体】
① 正しい風体。正しい姿。特に、
和歌において伝統的で正雅な歌体をいう。
連歌でもこれを受けつぎ、和歌的
本意を踏襲した規範的な風体をいう。正風。
※実隆公記‐延徳二年(1490)五月一九日「正風躰事 受面授口決了」
② 俳諧で、純正で中庸を得た風体。時代や
各派によってその理解や主張に違いはあるが、おおむね自派の風体の正統性を主張するのに用いた。俳諧史的には、
芭蕉らの俳諧に用いる傾向が強く、
安永・
天明(
一七七二‐八九)以降には、特に芭蕉を祖とする俳諧の
一派をいい、「蕉風」と同義に用いられた。正風。→「
蕉風」の語誌。
※俳諧・口真似草(1656)三「秋鳴は正風躰(シャウフウテイ)か蝉の歌〈幸以〉」
③ (形動) ありふれた風体。普通の
有様。平常の体。
※山上宗二記(1588‐90)「一、会席の事、色々様々に毎度替也。其内正風体なるは日々幾度も可然」
※洒落本・古今三通伝(1782)「浅黄かたびら黒小袖の正風体(セウフウテイ)では間にあはず」
④ (形動) きまじめなこと。几帳面なこと。また、そのさま。
※
浮世草子・当流雲のかけ橋(1710頃か)二「ねがひのままのふうふあひ、ふたりながら今の世になき正風ていのうまれつき」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の正風体の言及
【正風】より
…和歌,連歌,俳諧用語。正風体ともいう。規範とすべき正しい風体をいうが,時代やジャンルや個人によって概念に多少の相違がある。…
※「正風体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」