歴程(読み)れきてい

精選版 日本国語大辞典 「歴程」の意味・読み・例文・類語

れき‐てい【歴程】

[1] 〘名〙 経てきたみちすじ。
※美的生活を論ず(1901)〈高山樗牛〉五「道徳哲学歴史は是の流転の歴程を示めして余りあるを見ずや」
[2] 詩雑誌。昭和一〇年(一九三五草野心平中心逸見猶吉土方定一中原中也らにより創刊同人・寄稿者に金子光晴高村光太郎宮沢賢治尾崎喜八吉田一穂山之口貘らがいて、数次のアンソロジー「歴程詩集」が編まれた。同二〇年までに二六号刊行。同二二年に再刊。戦後の同人に安西均堀田善衛井上靖、串田孫一らがいる。

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デジタル大辞泉 「歴程」の意味・読み・例文・類語

れき‐てい【歴程】

経てきた道筋。「民族運動歴程をたどる」
[補説]書名別項。→歴程
[類語]歴史来歴由来由緒ゆいしょ縁起沿革変遷道程足跡そくせき歩み年輪いわれ故事因縁来由成り立ちルーツ始まる因る

れきてい【歴程】[書名]

詩誌。草野心平中原中也ら8名の同人を中心に、昭和10年(1935)創刊。昭和19年(1944)から一時休刊、昭和22年(1947)復刊。戦後の同人に谷川俊太郎田村隆一石垣りん中上健次粟津則雄などがいる。藤村記念歴程賞、歴程新鋭賞を主催

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改訂新版 世界大百科事典 「歴程」の意味・わかりやすい解説

歴程 (れきてい)

詩誌。1935年5月創刊。創刊号の編集兼発行人は逸見猶吉(へんみゆうきち)。歴程社発行。当初の同人は草野心平,逸見を中心に岡崎清一郎尾形亀之助,高橋新吉,中原中也,菱山修三,土方定一の8名。つづいて松永延造,菊岡久利,山之口貘,藤原定,尾崎喜八,黄瀛(こうえい),小野十三郎,伊藤信吉,山本和夫,大江満雄,馬淵美意子,赤木健介,平田内蔵吉らが加わった。宮沢賢治,八木重吉の遺作も掲載し,高村光太郎や金子光晴らの寄稿も加え,戦前戦中に26冊を発行した。一定の主義主張をもたず,各自の個性を重んじ,混沌とした星雲的世界を形成し,《四季》と並ぶ昭和の抒情詩の一大潮流をなした。戦後は47年7月に27号として復刊され,会田綱雄,安西均,長江道太郎,新藤千恵,谷川俊太郎,山本太郎ら80名を超える同人を擁し,一同人詩誌としての域を超え,美術,音楽,演劇等との交流,接触を深めながら現在も継続刊行中である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歴程」の意味・わかりやすい解説

歴程
れきてい

詩雑誌。 1935年5月創刊。逸見猶吉草野心平を中心に,大江満雄,尾形亀之助,山之口貘,岡崎清一郎,吉田一穂高橋新吉菱山修三中原中也,土方定一ら,高村光太郎の影響を受けた詩人が名を連ね,第2次世界大戦前から戦中を通じて『四季』と並ぶ二大詩誌に発展した。当初アナーキズムの傾向があったがフォービスム (野獣派) に転じ,一党一派によらない日本人の詩を各自に発表することがうたわれ,詩人発掘にも努力した。戦後 1947年7月の再出発後もこの傾向を踏襲し,山本太郎谷川俊太郎,黒田三郎,原民喜らを加えて個性の強い詩人集団の活動の場となり現在にいたっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「歴程」の意味・わかりやすい解説

歴程
れきてい

詩雑誌。1935年(昭和10)5月創刊。歴程社発行。同人は逸見猶吉(へんみゆうきち)、草野心平(くさのしんぺい)、岡崎清一郎、尾形亀之助(かめのすけ)、土方(ひじかた)定一、高橋新吉、菱山(ひしやま)修三、中原中也(ちゅうや)の8名で出発、のちに山之口貘(やまのぐちばく)、尾崎喜八ほかが加わり、45年までに26号出している。第二次世界大戦後は47年(昭和22)7月に復刊、草野心平を中心にして刊行。同人は創刊時の10倍以上になり、会田綱雄(あいだつなお)、金井直(ちょく)、宗左近(そうさこん)、生野(しょうの)幸吉、山本太郎、吉原幸子(よしはらさちこ)ほか多くの個性的な詩人を輩出した。一つの主義主張のための集まりではなく、「同人一人一人が自分の主張に基づいて、自分の方法を採用すればいい」(鳥見迅彦(とみはやひこ))というところに特色がある。歴程セミナーや藤村記念歴程賞・歴程新鋭賞を設け、活発な詩活動を続けている。

[首藤基澄]

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世界大百科事典(旧版)内の歴程の言及

【詩】より

…先輩格として室生犀星,萩原朔太郎も深い関係をもった。一方,草野心平,逸見猶吉,高橋新吉,菱山修三,中原中也,山之口貘,伊藤信吉らは《歴程》(1935創刊)に拠り,それぞれの個性的な詩風を展開すると同時に,宮沢賢治,八木重吉ら物故詩人の仕事の顕彰につとめた。《歴程》には高村光太郎や金子光晴も寄稿した。…

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