殊勝(読み)しゅしょう

精選版 日本国語大辞典 「殊勝」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐しょう【殊勝】

〘名〙 (形動)
① 特にすぐれていること。ひじょうに立派なこと。格別。景色などがすばらしいこと。また、そのさま。
今昔(1120頃か)二「我生々世々(しゃうじゃうせせ)に福徳長命殊勝にして世々に広く衆生を度せむ事」
申楽談儀(1430)補遺「幕屋にては、重湯しゅせうの物也」 〔朱熹‐念奴嬌詞・用傅安道和朱希真梅詞韻〕
② 神々しいこと。おごそかであること。心うたれること。また、そのさま。
※実隆公記‐明応元年(1492)一一月八日「参伏見殿、如意輪観音像〈略〉奉拝見。言語道断殊勝絶妙之尊容也」
※読本・昔話稲妻表紙(1806)四「鉦(かね)の音念仏(ねぶつ)の声、いとも殊勝(シュシャウ)にきこえけり」
③ 心がけがしっかりしていること。けなげなさま。神妙な様子。感心なさま。
説経節・説経苅萱(1631)上「お上人はきこしめし、ちかごろしゅせうなりやわかさぶらひ、かみをそってまいらせんとて」
浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)八「親の時さへ泣ぬ目に恨の涙はらはらと、保ち兼ねたる殊勝(シュシャウ)さよ」 〔無量寿経‐上〕
④ もっともらしいさま。とってつけたような様子。
※浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)上「いかな九文きなかでも勘忍ばしめさるなと真顔にいひしもしゅせうなり」

す‐しょう【殊勝】

〘名〙 (形動) (「す」は「しゅ」の直音表記) 特にすぐれていること。大変立派であること。また、そのさま。しゅしょう。
京童(1658)二「その人々のまことをぬきんでていのれば、すせうにありがたきためしおほかりけり」

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デジタル大辞泉 「殊勝」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐しょう【殊勝】

[形動][文][ナリ]
とりわけすぐれているさま。格別。
「相談したれど別に―なる分別も出でず」〈露伴五重塔
心がけや行動などが感心なさま。けなげであるさま。「親に心配をかけまいとする殊勝な気持ち」「いやに殊勝なことを言う」
神々しいさま。心打たれるさま。
「いつもよりも一しほ今日は―には覚えぬか」〈虎明狂・釣針
[派生]しゅしょうがる[動ラ五]しゅしょうさ[名]
[類語]健気神妙奇特感心見事立派結構素晴らしい良い素敵すてき最高絶妙卓抜秀逸目覚ましい輝かしいたえなるえも言われぬ良質上質上等優良佳良純良良好上上上乗グーグッドナイスワンダフル好ましい程よい好個絶好最適じょうずうまい上出来言うことなしあっぱれ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「殊勝」の読み・字形・画数・意味

【殊勝】しゆしよう

すぐれる。宋・朱熹〔念奴嬌〕詞 艷(ぜつえん)誰(たれ)かれまん 眞心自ら保つを (はる)かに塵たる 天然の殊は 風露冰に關せず

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