比例準備制度(読み)ヒレイジュンビセイド(英語表記)proportional reserve system

デジタル大辞泉 「比例準備制度」の意味・読み・例文・類語

ひれいじゅんび‐せいど【比例準備制度】

銀行券発行総額に対し、一定比率の正貨準備を保有することを中央銀行に義務づける発券制度

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「比例準備制度」の意味・読み・例文・類語

ひれいじゅんび‐せいど【比例準備制度】

〘名〙 中央銀行が銀行券を発行する場合、発行高の一定割合の正貨準備を必要とする制度

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「比例準備制度」の意味・わかりやすい解説

比例準備制度
ひれいじゅんびせいど
proportional reserve system

銀行券発行制度(発券制度)の一種。この制度は、銀行券の発行を銀行の自由に放任せず、なんらかの方法で制限すべきであるとする通貨主義思想に基づいており、中央銀行が銀行券を発行する場合、発行総額に対して一定比率の金(正貨)準備を必要とする制度である。つまり、中央銀行が保有する金に対して比例的倍数の範囲内で銀行券を発行できる制度であり、商業手形国債などの保証準備によって発行される額が正貨準備額で間接的に制限されることになる。なお、特定の場合に一時的に制限外発行を認めるものと、そうでないものがある。比例準備制度は1913年アメリカで採用され、第一次世界大戦後各国に広く普及した。その際、3分の1あるいは40%の正貨準備率のものが多かった。しかし、現在ではアメリカをはじめ各国とも金兌換(だかん)を停止し、正貨準備によって制限される発券制度は廃止された。

[安田原三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「比例準備制度」の意味・わかりやすい解説

比例準備制度
ひれいじゅんびせいど
proportional reserve system

銀行券発行制度 (発券制度) の一種で,銀行券発行高に対し一定比率の正貨準備を義務づける制度。この制度の特色は,中央銀行保有の正貨準備額により銀行券の発行量を規制しようとするところにあり,1913年アメリカが連邦準備法に基づいて採用して以来世界各国に広く普及したが,1930年代における金本位制度崩壊に伴って大部分の国はこの制度を事実上廃止した。アメリカ (1968年法定金準備撤廃) ,スイスベルギーオランダなどがこの制度を採用してきたが,71年の国際通貨不安以来,いずれの国もこの制度を停止している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の比例準備制度の言及

【発券制度】より

… その後も,発券制度については通貨主義と銀行主義の両立場,あるいは両者の中間的立場からさまざまな議論がなされたが,今日主要国で採用されている発券制度でおもなものは次の三つである。(1)比例準備制度 銀行券の発行高に対し一定比率の正貨準備を必要とし,それ以上の部分で保証発行を認めるもの(アメリカなど)。(2)最高発行額屈伸制限制度 銀行券の保証発行限度を定めるが,必要があれば限度を超える発行(限外発行)が可能であるもの(日本)。…

※「比例準備制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android