気味合(読み)きみあい

精選版 日本国語大辞典 「気味合」の意味・読み・例文・類語

きみ‐あい ‥あひ【気味合】

〘名〙
① (形動) 気分。趣。また、ある種の感じや趣のあるさま。
葉隠(1716頃)八「人の身に大切なる物は気味相也」
浄瑠璃関取千両幟(1767)二「わがみと俺が立合とは、ハテ気味合な事ぢゃの」
俳諧・誹讔三十棒(1771)「大ぜいに見とがめられじと、あげまくのうちに居らるる気味あひ」
異性に対して特別の関心をもつこと。恋愛色事。また、特別の関心を持っている異性。恋仲の人。
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一〇(1760)桜二「うきうきと・気味合が来りゃ縄にない」
歌舞伎独道中五十三駅(1827)序幕「てめえが爰にゐては、お半と気味合(キミア)ひの邪魔になる」

きみ‐あ・う ‥あふ【気味合】

〘自ハ四〙
① 互いに気持があう。意気投合する。呼吸が合う。
※俳諧・伊勢正直集(1662)四「きみあふやうちわもふはの関すまひ〈三幸〉」
② 特に、色事をする。
洒落本傾城買指南所(1778)「そのときけひせい、色々ときみあふ咄しなどなさば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「気味合」の意味・読み・例文・類語

きみ‐あい〔‐あひ〕【気味合(い)】

[名・形動]
気分。趣。また、気分のいいさま。趣のあるさま。
「少し手持無沙汰の―で」〈木下尚江良人の自白
「わが身と俺が立ち合ひとは、はて―なことぢゃの」〈浄・千両幟
相手に特別の関心をもつこと。特に、歌舞伎演技で、互いに相手の心中を探るように顔を見合わせることなどをいう。「気味合い見得みえ
異性に特別の関心をもつこと。恋愛。また、その相手の異性。
「てめえがここにゐては、お半と―の邪魔になる」〈伎・独道中五十三駅〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の気味合の言及

【歌舞伎】より

…ただのギバのほかに〈胸ギバ〉〈背ギバ〉〈横ギバ〉などがある。 気味合(きみあい)登場人物が互いの気持を探り合い推しはかりながら,無言で心理を表現する技巧。 隈取(くまどり)江戸荒事にはじまり,時代狂言一般に用いられる歌舞伎独自の化粧法。…

※「気味合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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