水の三重点(読み)ミズノサンジュウテン

デジタル大辞泉 「水の三重点」の意味・読み・例文・類語

みず‐の‐さんじゅうてん〔みづ‐サンヂユウテン〕【水の三重点】

液体の水と水蒸気と氷が共存する、状態図における一点。絶対温度273.16ケルビン(セ氏0.01度)、圧力610.6パスカル。絶対温度および国際温度目盛温度定点。→三重点

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化学辞典 第2版 「水の三重点」の解説

水の三重点
ミズノサンジュウテン
triple point of water

水,氷および水蒸気が同時に平衡にある状態をいい,温度273.16 K,圧力610.48 Pa の点で,ここでは三相が共存するので系は不変系自由度はなく,どれか一つの相が消失しないかぎり圧力も温度もかわらない.この三重点の温度は氷の通常融点273.15 K と同じではない.1 atm(101.3 kPa)のもとでの水の通常の凝固点は0 ℃ であって,このときの蒸気圧は613 Pa である.1 atm より低い圧力613 Pa のもとでの氷の融点は0.0075 ℃ である.一方,水の通常の凝固点0 ℃ は1 atm の空気が飽和された水について定義されたものであり,純粋な水の場合の1 atm のもとでの凝固点はそれよりも0.0024 ℃ だけ高い.結局,水の三重点は

0.0024 + 0.0075 = 0.0099 ℃
となり実測値と一致する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の水の三重点の言及

【温度定点】より

…そこで現在では,純粋な物質の三重点(固相,液相,気相が共存する状態)を利用することが多くなった。水の場合なら,清浄なガラス容器に純粋な水を入れ,排気したのち容器を密封し,一部分を冷やすと氷ができて,それと液体の水と気体の水蒸気とが共存する状態,すなわち水の三重点が実現され,0.0001K以内に一定した温度が得られる。温度目盛【高田 誠二】。…

【三重点】より

相律によって,三重点では自由度は0であり,物質を与えれば温度も圧力も決まる。水の三重点は温度0.01℃,圧力4.58mmHg(0.006atm)で,氷,水,水蒸気が安定に共存するが,この温度は絶対温度目盛の基準点(273.16K)に定められている(図)。温度【小野 嘉之】。…

※「水の三重点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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