海食(読み)カイショク(英語表記)marine erosion

デジタル大辞泉 「海食」の意味・読み・例文・類語

かい‐しょく【海食/海×蝕】

[名](スル)潮流や波が海岸海底を少しずつ崩し削り取ること。
[類語]浸食風化風食波食河食

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百科事典マイペディア 「海食」の意味・わかりやすい解説

海食【かいしょく】

海水の運動(波浪,潮流,海流など)による海岸とその付近の浅海底に対する浸食作用。最も重要なものは波浪の作用すなわち波食である。海食による海岸縦断曲線と海岸地形の変化は海食輪廻(りんね)と呼ばれる。陸地側では陸地が浸食されて海食崖が形成され,その下では海面の高さに狭いベンチ状の海食棚ができることが多い。海底では海食台が海面下最大10mぐらいの深さまで形成され,海食台の前方には,陸地を浸食した細粒物が堆積台を形成する。海食が進み,海食台の幅が十分広くなると海食力が弱まり海岸の縦断面は平衡状態に到達する。
→関連項目海岸地形浸食作用

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海食」の意味・わかりやすい解説

海食
かいしょく
marine erosion

波浪,潮流など海水の運動による陸地の浸食。陸地をつくる岩石は波浪によって破壊され,それによってできた岩屑を潮流が運搬する。沖合いの波浪は海水の回転運動にすぎないが,浅いところに近づくにつれ移動を始め,海岸にぶつかる。暴風時には岸壁と波浪の間の空気を海水中に閉じ込め圧縮しながら激しく岩石にぶつかり,割れ目に浸入して岩石をブロック状にはがす。その際の圧力は,1cm2につき 1kgをこえることがある。ブロックは波動に動かされて,海岸を破壊する道具の役割をするので,破壊力はさらに大きくなる。地殻運動海面変化などによって海岸付近の地形は絶えず変動するが,海食作用がさらにそれを修正して新たな海岸地形をつくり上げる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海食」の意味・わかりやすい解説

海食
かいしょく

海岸侵食

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世界大百科事典(旧版)内の海食の言及

【浸食作用】より

…これをヤルダンと呼び岩稜に怪異な形の岩塔が伴う。
[海食]
 海岸における海水の運動によっておこる浸食作用を海食marine erosionという。海(食)崖sea cliffは,沈水した山地の山脚が海に接する所で波浪が砕け,磯波が強く作用して基部に〈刻みnotch〉が生じ,その上部の斜面がオーバーハングする結果崩れ落ち,崖は内陸側に後退する。…

※「海食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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