深尾須磨子(読み)ふかおすまこ

精選版 日本国語大辞典 「深尾須磨子」の意味・読み・例文・類語

ふかお‐すまこ【深尾須磨子】

詩人兵庫県出身。京都菊花高等女学校卒。与謝野晶子私淑。フランス文化に親しみ、情熱抒情と風刺性に特色のある詩作活動を続けた。詩集呪詛」「深尾須磨子詩集」、与謝野晶子の評伝「君死にたまふことなかれ」など。明治二一~昭和四九年(一八八八‐一九七四

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デジタル大辞泉 「深尾須磨子」の意味・読み・例文・類語

ふかお‐すまこ〔ふかを‐〕【深尾須磨子】

[1888~1974]詩人。兵庫の生まれ。京都菊花高女卒。与謝野晶子師事し、第二次「明星」で活躍戦後は、平和運動婦人運動にも尽力した。詩集に「真紅の溜息」「牝鶏の視野」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「深尾須磨子」の意味・わかりやすい解説

深尾須磨子
ふかおすまこ
(1888―1974)

詩人。本名荻野(おぎの)志げの。兵庫県丹波(たんば)の旧家に生まれる。京都師範学校から転じて京都菊花高等女学校を卒業。結婚したが病気で夫を失い、与謝野晶子(よさのあきこ)に師事し、詩集『真紅溜息(ためいき)』(1922)、『斑猫(はんみょう)』『呪詛(じゅそ)』『焦躁(しょうそう)』(いずれも1925)等を出版し、たびたび渡欧してパリで生物学やフルートを学び浪漫(ろうまん)的詩情豊かな作品を発表。第二次世界大戦後は『洋燈(らんぷ)と花』(1951)、『深尾須磨子詩集』(1952)のほか多数の著作があり、平和運動、女性運動にも活躍した。

[古川清彦]

『『深尾須磨子選集』全3巻(1970・新樹社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「深尾須磨子」の意味・わかりやすい解説

深尾須磨子 (ふかおすまこ)
生没年:1888-1974(明治21-昭和49)

大正・昭和期の詩人。兵庫県に生まれ,京都菊花高等女学校卒業。24歳で深尾贇之丞と結婚したが,32歳で死別。1921年に夫の遺稿詩集《天の鍵》に自作詩を加えて上梓後,第2期《明星》に参加して与謝野晶子に師事。詩集《真紅の溜息》(1925)などを刊行亡夫への想いを大胆率直にうたった詩で注目された。25~41年の間に3度渡仏してルソーの自然復帰思想に共鳴,詩風も社会・人生風刺へと広がり,《深尾須磨子詩集》(1952)などで激しい文明批判をうたいあげた。第2次大戦後は,婦人運動,平和運動にも積極的に参加した。
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百科事典マイペディア 「深尾須磨子」の意味・わかりやすい解説

深尾須磨子【ふかおすまこ】

詩人。兵庫県出身。京都菊花高女卒。32歳で夫深尾贇之丞(ひろのすけ)と死別。1921年夫の遺稿詩集《天の鍵》に自作を収録してから詩人の道に踏み出し,与謝野晶子に師事。1922年詩集《真紅の溜息》を発表,亡夫への想いを大胆にうたった詩で話題となる。第2次大戦前に3度渡仏したことが詩風にも強く影響し,情熱的で風刺性を持ったものとなる。戦後は,戦争協力への深い反省から,平和運動や婦人運動にも尽力。詩集に《斑猫(はんみょう)》《深尾須磨子詩集》などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「深尾須磨子」の解説

深尾須磨子 ふかお-すまこ

1888-1974 明治-昭和時代の詩人。
明治21年11月18日生まれ。大正10年夫深尾贇之丞(ひろのすけ)の遺稿詩集刊行を機に与謝野晶子(よさの-あきこ)に師事。たびたび渡仏して生物学やフルートを,またパリ大のトゥルーズに性科学をまなんだ。戦後は平和運動,婦人運動にもつくす。昭和49年3月31日死去。85歳。兵庫県出身。京都菊花高女卒。旧姓は荻野。詩集に「真紅の溜息(ためいき)」「洋灯(ランプ)と花」など。
【格言など】詩は時代の先頭にたつべきだ。行動のない詩に生命はない

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「深尾須磨子」の意味・わかりやすい解説

深尾須磨子
ふかおすまこ

[生]1888.11.18. 兵庫
[没]1974.3.31. 東京
詩人。京都菊花高等女学校卒業。与謝野晶子に師事して第2期『明星』に参加。処女詩集『真紅の溜息』 (1922) はやや感傷的だが,封建的なモラルを拒む女の情熱をうたっている。その後,抒情と知性の統一を目指しながら機知に富む社会批判をモチーフに加えるなど,詩風の変化がみられ,『牝鶏の視野』 (30) ,『永遠の郷愁』 (46) などの詩集を出した。第2次世界大戦後は『深尾須磨子詩集』 (52) などで社会批判の姿勢を強め,平和運動にも参加した。

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