減衰器(読み)ゲンスイキ(英語表記)attenuator

デジタル大辞泉 「減衰器」の意味・読み・例文・類語

げんすい‐き【減衰器】

電気信号の強さを、ひずみを与えずに減少させる装置減衰量を調整できるものと一定のものとがある。アッテネーター

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「減衰器」の意味・わかりやすい解説

減衰器
げんすいき
attenuator

電気信号の品質を損なわずに、電力減衰させるために用いる電気回路。アッテネーターともいう。抵抗だけで構成した抵抗減衰器と、コイルコンデンサーを組み合わせたリアクタンス減衰器とがあり、いずれも減衰量が一定のものと可変のものがある。もっとも広く用いられているのは抵抗減衰器で、いかなる減衰量でも入力インピーダンスと出力インピーダンスの値が変わらないよう設計されている。素子の配置によりT形、π(パイ)形、H形、L形、O形、ブリッジ形などがあり、これらは入力と出力端子からみた素子構成により平衡型と不平衡型に大別できる。平衡型は主として低周波帯で用いられ、高周波帯では不平衡型が用いられている。平衡型の可変減衰器としては、0~150キロヘルツで特性インピーダンス600オーム、最大減衰量121デシベル(0.1デシベルで可変)のもの、不平衡型では0~4メガヘルツ、75オーム、141デシベルのものがつくられている。同軸型の損失素子を使い、0~200メガヘルツで最大減衰量100デシベルのものもある。マイクロ波帯域の減衰器には、導波管内に抵抗体を挿入して電磁波エネルギー一部を吸収する抵抗減衰器と、伝送路の遮断周波数を利用するカットオフ減衰器がある。可変減衰器としては、抵抗体の挿入量を可変にするフラップ型、挿入位置を変えるベーン型、円形導波管内の抵抗膜を回転させて減衰量を変える回転型がある。

[岩田倫典]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「減衰器」の意味・わかりやすい解説

減衰器 (げんすいき)
attenuator

回路の途中に挿入して,電気信号の強度に減衰を与える機器。減衰量を任意に加減できるものと,一定の減衰量を与えるものとがあり,後者はパッドpadとも呼ばれる。構成する素子の種類により,抵抗減衰器,容量減衰器,誘導減衰器などに区別されるが,もっとも広く用いられるのは抵抗減衰器である。減衰器は,周波数に関係なく一定の減衰量を与えること,信号にひずみを与えないことおよび減衰量に関係なく入出力回路のインピーダンスに整合されるように,回路上,構造上のくふうが図られている。大部分の減衰器では,減衰量の表示はデシベル(dB)で目盛られており,可変のものではダイヤルや電鍵で0.1dBから120dB程度まで変えられるようになっている。減衰器は,信号発生器の出力側に挿入して正確な測定をするのに用いたり,放送における音声レベルの制御など,広範囲に使用されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「減衰器」の意味・わかりやすい解説

減衰器【げんすいき】

電気回路に挿入して信号の振幅を減衰させる装置。一般に減衰量が周波数に無関係に一定で位相量がゼロであるよう構成され,デシベル目盛のダイヤルを加減して希望の減衰を得る。構成素子から抵抗減衰器,リアクタンス減衰器等に分かれる。
→関連項目減衰定数

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「減衰器」の意味・わかりやすい解説

減衰器
げんすいき
attenuator

大きな電圧または電流を抵抗などで分圧,分流し,小さくする装置。電圧測定の場合は抵抗またはリアクタンスを計器に直列に,電流測定の場合はそれらを並列に接続するのが基本型である。抵抗を用いるものは直流から MHz程度の交流にまで用いられ,リアクタンスを用いるものは高周波に限って用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android