準矮星(読み)じゅんわいせい(英語表記)subdwarf

日本大百科全書(ニッポニカ) 「準矮星」の意味・わかりやすい解説

準矮星
じゅんわいせい
subdwarf

矮星主系列星)に準ずる星(恒星)で、光度階級はⅥと分類される。歴史的にみると、スペクトル型はA型と思われるのにA型主系列星より暗いもの数個が、1930年代にアメリカのW・S・アダムズによりみつけられた。これらの星は「準矮星」とよばれたが、その後の研究により、これらは金属含有量が通常の星より極端に少ない「金属欠乏星」であることが明らかになった。スペクトル型としては、F、G、K型に属するものが多い。

 習慣上、現在でもこれらの星は準矮星とよばれているが、実体種族Ⅱに属する古い星である。そのなかで、晩期型のものはいわば種族Ⅱの主系列をなし、実際に種族Ⅰの主系列星より1等くらい暗い。それより早期型の準矮星は、すでに主系列星から離れ、巨星を経てさらに進化していると考えられる。

[前原英夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「準矮星」の意味・わかりやすい解説

準矮星 (じゅんわいせい)
sub-dwarf

光度が同じ色のふつうの矮星よりも約0.5等級暗い矮星。横軸青色帯から緑色帯にかけての色の指数をとり,縦軸に実視絶対等級をとった〈色・等級図〉上で,ふつうの矮星が並ぶ主系列の下側に分布することから命名された。その多くは種族Ⅱの重元素欠乏星で,高速度星でもある。重元素原子による青色から紫色域にかけての線スペクトル吸収が少ないために,同質量,同年齢の矮星に比べて,色が青く見える結果,見かけ上,暗いほうにずれた系列を形づくる。銀河系内の重元素合成の歴史を調べるうえで重要である。
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百科事典マイペディア 「準矮星」の意味・わかりやすい解説

準矮星【じゅんわいせい】

同じ色のふつうの矮星よりも光度が約0.5等暗い矮星。多くは種族IIに属す重元素欠乏星。重元素原子による線スペクトル吸収が少ないため,同質量・同年齢の矮星よりも色が青く見え,その結果暗いほうにずれた系列を構成している。
→関連項目特異星

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「準矮星」の意味・わかりやすい解説

準矮星
じゅんわいせい
sub-dwarf

ヘルツスプルング=ラッセル図において,主系列と同じスペクトルをもちながら半径が小さいために主系列より 1.5~2等暗い星。星の種族 IIに属する (→恒星の種族 ) 。

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