火山弾(読み)カザンダン(英語表記)volcanic bomb

デジタル大辞泉 「火山弾」の意味・読み・例文・類語

かざん‐だん〔クワザン‐〕【火山弾】

火山砕屑物さいせつぶつの一。噴出されたマグマ空中固結したもので、楕円形紡錘形など特定の形を示す。

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精選版 日本国語大辞典 「火山弾」の意味・読み・例文・類語

かざん‐だん クヮザン‥【火山弾】

〘名〙 火山放出物の一種。火口から吹き上げられた溶岩が空中でちぎれて特殊な形に固まったもの。こぶし大から人の頭くらいの大きさで、富士山の紡錘形、浅間山桜島のパン皮状、阿蘇山の皿状など種々の形がある。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「火山弾」の意味・わかりやすい解説

火山弾 (かざんだん)
volcanic bomb

火山放出物の一種で,高温のマグマの破片可塑性を保った状態で火口から投げ出されたもの。空中を飛行する間に,特有の外形,表面の模様,内部構造をもつようになる。たとえば紡錘状,リボン状,球状,皿状の外形をもち,また表面が急冷され,緻密な皮殻をつくり,内部はゆっくり冷えたため発泡してスポンジ状になった構造などが代表的である。日本の安山岩質火山に多く見られるパン皮火山弾は後者の例で,直径が最大数mのものまである。これらは爆発的噴火の際に,100~500気圧くらいの火山ガス圧力により火口から発射され,火口から水平距離で1~4kmくらい飛行し落下する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火山弾」の意味・わかりやすい解説

火山弾
かざんだん
bomb

火山の噴火で放出された未固結の溶岩が,飛来中の風圧や地表到達時の衝撃で,特定の外形(構造)をもつようになった直径 2mm以上の火山礫および火山岩塊をさす。最終的な形状は,放出時の溶岩の大きさや量,粘度,飛翔速度によって決まるが,多くは紡錘状,球状,リボン状の形をなし,着地の際に冷え固まっていない場合は平たくなって牛糞状,皿状となる。また,外側が急に冷やされて固化し,内側が可塑性を保っている場合,内部のガスが膨張して,表面にパン皮状のひび割れを生じることもある。火山弾はストロンボリ式噴火ブルカノ式噴火に特徴的である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火山弾」の意味・わかりやすい解説

火山弾
かざんだん

火山爆発で噴出された溶岩片のなかで、特徴のある形や構造をもつ火山岩塊(直径64ミリメートル以上)や火山礫(れき)(直径64~2ミリメートル)をいう。火山砕屑物(さいせつぶつ)の一種で、流動性を多少とも保持したまま、空中を飛ばされて生じる。流動性の大きい玄武岩質溶岩ではサツマイモ状の紡錘状火山弾、粘り強い安山岩質溶岩では亀裂(きれつ)が多いパン皮状火山弾がよくみられる。そのほか球状、棒状、板状などの火山弾もある。

[諏訪 彰]

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岩石学辞典 「火山弾」の解説

火山弾

マグマ質物質の塊あるいは岩片で火山から放出されたもの.これらはマグマが空中に放出された時に一部または全部が完全には固化していないために,回転体,回転楕円体,楕円体,円盤状,紡錘形など様々な形となる.表面の模様や内部の構造はこれらが空中を飛んでいる間の条件に関係している.着地したときに塑性を保っていたかどうかによって形状も異なる.岩片の大きさは32~4mmを火山礫といい,32mm以上の破片を火山弾という[Wentworth & Williams : 1932, Blyth : 1940, 片山ほか : 1970].

火山弾

粗粒な本質火山砕屑物の一種で,空中に放出された時点ではまだ完全に固化しておらず可塑性をもっている.外形がほぼ定まった後に冷却に伴う固化や発泡が行なわれるので,特徴的な表面紋様や外形に調和した内部構造をもつ.粘性の違いや大きさによって種々の外形を生じる.これらの形態は可塑性の熔岩片が噴火口から放出され空中を飛行して地上に落下するまでの間に生じるので,球状,楕円状,棒状,紡錘形,板状など様々でる.大きさは一般に拳大から人頭大であるが,時にはるかに大きいものもある[片山ほか : 1970, 渡辺編 : 1935].

火山弾

火山砕屑物の中で平均径が64mm以上[Fisher : 1961]あるいは32mm[Wentorth & Williams : 1932]のもの.火山弾は形状や表面構造から一部または全部が熔融した状態で火口から放出されたものである.

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百科事典マイペディア 「火山弾」の意味・わかりやすい解説

火山弾【かざんだん】

火山放出物で,一定の外形または内部構造を有する岩片。火口から投げ出され,空中を飛行中または落下時に変形して一定の形をとる。紡錘状,リボン状,牛糞(ぎゅうふん)状,パン皮状等の種類がある。日本の活火山では火山弾の投出初速度は毎秒100〜200m,直径数十cm〜数mの場合が多い。
→関連項目火山砕屑岩

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