朝日日本歴史人物事典 「片岡仁左衛門(8代)」の解説
片岡仁左衛門(8代)
生年:文化7(1810)
江戸後期の歌舞伎役者。7代目仁左衛門の養子。俳名李童,我童など。初名市川新之助。前名三枡岩五郎,嵐橘次郎,片岡我当,2代目我童。上方で子供芝居と大芝居の中間に位置する中芝居で色立役として人気をとる。養父の病没後大芝居で「けいせい浜真砂」の鮒屋源五郎,「伊賀越道中双六」の誉田内記,夕霧狂言の伊左衛門などで大当たりし,安政1(1854)年,45歳ではじめて江戸下り。その年自殺した8代目市川団十郎に似ているとして広く人気が出た。4年,8代目を襲名。色気のある上品な美男で,文化文政期の立役の名優2代目嵐吉三郎の芸風を継承した。片岡仁左衛門の名跡は平成期まで13代を数える。
(松平進)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報