デジタル大辞泉
「物申」の意味・読み・例文・類語
もの‐もう〔‐まう〕【物申】
[感]《「物申す」の略》他家を訪問して案内を請うときにいう語。たのもう。ごめんください。
「―。案内まう」〈虎清狂・泣尼〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
もの‐もう・す ‥まうす【物申】
〘
連語〙 (古くは「ものまをす」。「もの言う」の
謙譲語)
① ことばに出して申しあげる。また、意見を申しあげる。
※
古事記(712)下・
歌謡「
山城の 筒木の宮に 母能麻袁須
(モノマヲス) 吾が兄の君は 涙ぐましも」
※
万葉(8C後)一六・三八五三「石麻呂に吾れ物申
(ものまをす)夏やせによしといふ物そむなぎ取りめせ」
※枕(10C終)三一「神・寺などに詣でて物申さするに」
③ (多く助動詞「ん(む)」「う」を伴って用いる) 人に呼びかけたり、
他人の家に行って案内を請うたりするときにいう語。
※
平家(13C前)三「物まうさうどいへば、何事とこたふ」
※
曾我物語(南北朝頃)一二「戸をたたき、物申さんといへば」
もの‐もうし ‥まうし【物申】
〘名〙 (古くは「ものまをし」)
① ものを申し上げること。あるいは、取り次いで伝えること。また、その職の人。
※
書紀(720)顕宗元年二月(図書寮本訓)「縄の端
(はし)に鐸
(ぬりて)を懸けて、
謁者(モノマウシ)に労ること無かれ」
② 祝詞などを奏すること。
※
読本・
春雨物語(1808)目ひとつの神「矛とり直して、物まうしの声、皺ぶる人なれば、おかしと聞たる」
もの‐もう ‥まう【物申】
※虎明本狂言・
武悪(室町末‐近世初)「おもてからものまふと云程に、たれぞとこそ思ふたれ」
[2] 三重県多気郡などで、元日の朝に
子どもが家々を訪れて
蜜柑をもらい歩く
習俗。「物申す」と言いながら訪れるところからいう。
もの‐も【物申】
〘感動〙 「ものもう(物申)」の変化した語。
※
狂言記・貰聟(1660)「親のかたへ帰りませう。ものも。お案内」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報