特発性浮腫(読み)とくはつせいふしゅ(英語表記)Idiopathic edema

六訂版 家庭医学大全科 「特発性浮腫」の解説

特発性浮腫
とくはつせいふしゅ
Idiopathic edema
(内分泌系とビタミンの病気)

どんな病気か

 明らかな原因がないのに全身性の浮腫(むくみ)を周期的に繰り返す病気で、主に月経がある女性に現れます。

原因は何か

 原因は不明ですが、レニン­アンジオテンシン­アルドステロン系の活性化、毛細血管透過性(とうかせい)亢進(こうしん)や自律神経の異常などが推定されています。

症状の現れ方

 浮腫の発症と月経の周期とは関係ありません。また、閉経後にも症状は続きます。浮腫は立った状態で誘発されることが多く、一般には夕方に顕著になり、下肢や手のほか、顔や腹部にも認められます。

 朝夕の体重差が大きく、1.4㎏以上にもなります。疲労感や不安感といった精神症状を伴うことも多くみられます。

検査と診断

 一般的な浮腫の原因が除外され、水やナトリウムを負荷した際に、臥位(がい)に比べて立位での排泄が減っている時、その可能性が考えられます。

 エストロゲン影響によってナトリウムや水がたまるために生じる月経前浮腫とは区別されます。習慣性の嘔吐(おうと)や、利尿薬下剤を隠れて使っていないかどうか確認します。

治療の方法

 1日の塩分摂取量を5g以下に制限します。特発性浮腫が重い疾患でないことを理解し、安心することも重要です。薬剤としては、スピロノラクトンアンジオテンシン変換酵素阻害薬が有効であったという報告があります。

菅原 明

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「特発性浮腫」の解説

とくはつせいふしゅ【特発性浮腫 Idiopathic Edema】

[どんな病気か]
 特別な原因がないのにむくみ(浮腫(ふしゅ))がおこる病気です。女性に多く、浮腫は体位の影響を受けます。
 立ったままでいると、夕方に浮腫が現われ、朝夕の体重差が1.4キロ以上になるという、特徴的な症状を示します。この浮腫は、朝にはよくなり、夕方にひどくなることから、周期性浮腫(しゅうきせいふしゅ)とも呼ばれています。
 これといった治療法はありませんが、塩分の摂取を制限すると効果があるとされています。
 立っていると水分の排泄(はいせつ)を低下させるので、立っている時間を短くするように注意します。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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