相続時精算課税制度(読み)ソウゾクジセイサンカゼイセイド

デジタル大辞泉 「相続時精算課税制度」の意味・読み・例文・類語

そうぞくじせいさんかぜい‐せいど〔サウゾクジセイサンクワゼイ‐〕【相続時精算課税制度】

父母または祖父母が子や孫に生前贈与を行うときに、贈与ではなく相続前倒しとして扱う制度贈与者が60歳以上の父母や祖父母、受贈者が18歳以上の直系卑属である推定相続人または孫である場合に選択できる。特別控除額の2500万円まで贈与税非課税となり、これを超えた部分については一律20パーセントの税率が適用される。贈与者が死亡した際は、同制度の適用分とその他の遺産を合算して相続税を精算する。平成15年(2003)に導入

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「相続時精算課税制度」の意味・わかりやすい解説

相続時精算課税制度
そうぞくじせいさんかぜいせいど

相続税と贈与税を一体化し、贈与の際の課税を軽減化することで生前贈与を促し、資産をスムーズに次の世代に渡して消費を活発化させることをねらった制度。2003年(平成15)1月施行の相続税法改正に伴い導入された。この制度を選択した場合、生前贈与の際には贈与財産2500万円までは贈与税が非課税となり、2500万円を超えた分については一律20%の贈与税が課税される。贈与者が亡くなった時には、生前贈与された財産の贈与時の価値と相続財産の価値とを合計した相続税を支払うが、その際、すでに納めた贈与税相当額は控除され、払い過ぎている場合には還付される。制度が適用されるのは、贈与者は60歳以上の父母・祖父母で、受贈者は贈与者の推定相続人である18歳以上の子・孫である。

[編集部 2022年4月19日]

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知恵蔵 「相続時精算課税制度」の解説

相続時精算課税制度

生前贈与により財産を得た時、暦年単位で贈与税の計算をする暦年課税に代えて選択できる制度(精算制度)。相続時に、生前贈与した財産と相続財産を合計して相続税を計算する。この制度は、贈与年の1月1日において贈与者が65歳以上、受贈者が20歳以上の推定相続人(通常は配偶者と子。代襲相続を含む)である場合に限り適用される。精算制度を選んだ場合でも従来の贈与税は残るが、その税額は、課税価格から特別控除額(2500万円)を差し引いた額に一律20%の税率を乗じて求める。従って、2500万円未満の生前贈与であれば、贈与税は課税されない。なお、ここで課された贈与税は、相続税から控除するか還付を受けることができる。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)

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