眼鏡橋(読み)メガネバシ

デジタル大辞泉 「眼鏡橋」の意味・読み・例文・類語

めがね‐ばし【眼鏡橋】

石造り半円形二つ並んだ形の橋。寛永11年(1634)に中国僧如定が伝え、長崎を中心に九州各地にみられるようになり、明治初期には東京でも造られた。

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精選版 日本国語大辞典 「眼鏡橋」の意味・読み・例文・類語

めがね‐ばし【眼鏡橋】

〘名〙 半円形に弧を描いた形が二つ並んだ構造の石造りの橋。寛永一一年(一六三四)に、中国から僧如定が伝えた技術によって長崎を中心に九州各地に造られるようになり、明治初期には東京にも万世橋呉服橋などが造られた。〔随筆・西遊記(1795)〕

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日本歴史地名大系 「眼鏡橋」の解説

眼鏡橋
めがねばし

中島なかしま川に架かる橋で、江戸時代には西古川にしふるかわ町と酒屋さかや町などを結ぶ(享和二年長崎絵図)。国指定重要文化財。当初は木橋で、寛永一一年(一六三四)興福こうふく寺二世の黙子如定(唐僧)が一般に喜捨を求め、みずから普請を指導して架橋したもので、石橋の始創とされる(長崎名勝図絵)一帯は繁華で往来が多く、当橋を渡ると同寺のほか興福こうふく寺・晧台こうたい寺などのてら町に通じるので、参詣用に架橋したともいう。

眼鏡橋
めがねばし

本明ほんみよう川に架かる江戸時代以来の橋。ふる町と五反屋敷ごたんやしきを結ぶ。天保一〇年(一八三九)諫早家が造設したが、費用は同家庫よりの下渡し分のほか、領内の僧による九州各地での托鉢領民の負担、一般の喜捨によったという。元禄一二年(一六九九)の大洪水教訓から洪水に耐え得る石橋を望んだため、アーチ石は逐一太鉄でつなぐなど工夫を凝らした。川幅が広いため二輪とするなど目論見書の段階で難儀したが,中国の技法の影響が指摘されている。安政六年(一八五九)諫早を通った河井継之助(越後長岡藩士)同行の「佐賀人、諫早の鏡橋は、これ亦、日本一と誇りしが、成程日本一ならん」「石橋も数々あれども、斯る橋は見ざる処なり、大にして綺麗なり」と記している(塵壺)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「眼鏡橋」の意味・わかりやすい解説

眼鏡橋
めがねばし

半円形が二つ並んだ石造りの橋。長崎県を中心に九州各地につくられたが、とくに有名なのは(1)長崎市と(2)諫早市(いさはやし)にある橋。ともに眼鏡橋とよばれている。

(1)1634年(寛永11)架橋された日本最古の石橋で、1960年(昭和35)国の重要文化財に指定された。架橋の由来は次のとおり。町の中央を流れる中島川(なかしまがわ)の氾濫(はんらん)によって従来の脚のある木造の橋は流失し、街は分断され両岸の住民は不便に苦しんでいた。1632年(寛永9)中国から渡来した僧如定(にょじょう)は、その窮状を見かね、石材によるアーチ状の虹(にじ)の橋がもっとも強固と考え、半円(お互いに力を支え合っている拱環石(こうかんせき)の形)を二連(にれん)にした石橋を建設した。満潮時の橋の姿が眼鏡にみえるので眼鏡橋とよばれた。以来、中島川には20(現存14)に達する石橋がつくられたが、水害によって流失ないし架け替えられたものが多い。しかし、眼鏡橋は健在であった。1982年7月22日の大豪雨によって一部を破壊され、その存廃が論議の的となったが、存続する方向で復旧された。

(2)諫早市の眼鏡橋は、1839年(天保10)本明川(ほんみょうがわ)に架橋され、1957年(昭和32)の大水害に際し、堅固なため流失せず、流木などをせき止め、まさにダムの役割を果たしたため、市街地の被害を増大せしめたものとして撤去され、諫早公園内に原型のまま保存されている。1958年に国の重要文化財に指定。

[石井泰義]

『山口祐造著『九州の石橋をたづねて』前・中・後篇(1975・昭和堂)』


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事典・日本の観光資源 「眼鏡橋」の解説

眼鏡橋

(長崎県諫早市)
次代(あす)に残そう長崎百景」指定の観光名所。

眼鏡橋

(長崎県長崎市)
長崎県新観光百選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

デジタル大辞泉プラス 「眼鏡橋」の解説

眼鏡橋

長崎県長崎市にある建造物。中島川にかかる石造りの二連アーチ橋。1634年に建てられたとされる。国指定重要文化財。

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