… 三階教は信行が住持となった長安南郊の真寂寺(しんじやくじ)(唐代には化度寺(けどじ)と改む)を中心に,唐代中期まで北中国で栄えたが,一つには無尽蔵行によって寄進された財物が化度寺の無尽蔵院や各地の三階教寺院の功徳所(くどくじよ)に集められ,その資本運用にからんで僧団の腐敗が進行したこと,二つには信行に始まる激しい他宗派批判によって仏教界全体から異端視され,政府からも5度におよぶ弾圧を受けたことによって,8世紀中ごろから勢力を失い,地蔵信仰などと習合しながら民間に溶けこんでいった。その姿の復元と解明は,今世紀に入って発見された敦煌文書などから矢吹慶輝によって完遂されたものである。【川勝 義雄】。…
…これら書名にみられるように,当時の学者たちの関心の的は古佚書の写本に置かれていた。仏典はおもに日本の学者が研究したが,やはり《大蔵経》に収めない蔵外仏典を探し出すことに重点が置かれ,矢吹慶輝《三階教之研究》(1925),同《鳴沙余韻》(1930)などの大著が世に出された。30年代になると,ようやく古文書も研究されるようになり,ことに那波利貞の寺院文書を用いた諸論文,仁井田陞《唐宋法律文書の研究》(1937)などは,これまで典籍資料のみに頼っていた中国史研究に大きく貢献した。…
※「矢吹慶輝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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