精選版 日本国語大辞典 「硝酸カルシウム」の意味・読み・例文・類語
しょうさん‐カルシウム セウサン‥【硝酸カルシウム】
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化学式Ca(NO3)2。硝酸を石灰石(炭酸カルシウム)と反応させると得られる。
2HNO3+CaCO3─→Ca(NO3)2+CO2+H2O
石灰石を十分多量に溶解させた後,溶液をろ過,濃縮すると4水和物Ca(NO3)2・4H2Oが得られる。条件によって3水和物,2水和物が生ずることもあるが,空気中で吸湿し,容易に4水和物に変化する。4水和物は無色の単斜晶系の結晶で,比重1.82。吸湿性があり,42.5℃で自分の結晶水に溶けて液体となり,100℃以上で無水和物となる。無水和物は立方晶系で,比重2.36,融点561℃。きわめて潮解性が強く,水やアルコールによく溶ける。水に対する溶解度は129.9g/100g(20℃)。欧米では窒素肥料として利用されるが,吸湿性のため,湿度の高い日本には不向きである。しかし,チリ硝石(硝酸ナトリウム)と同程度の効果をもつうえ,カルシウムにも肥料的価値があるので,とくにカルシウムの欠乏した土壌に適するといわれる。
執筆者:曽根 興三
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カルシウムの硝酸塩。硝酸石灰ともよばれる。炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムを硝酸で中和して製造することができる。飽和溶液から析出させると四水和物が得られる。無色の結晶で潮解性を示す。100℃で結晶水を失って無水和物となる。無水和物は吸湿性があり、水によく溶けるだけでなくアルコールにも溶ける。加熱すると132℃で分解し始め、亜硝酸塩を経て酸化物に変わる。速効性肥料としてハウス栽培や園芸用に使用される。また、硝酸塩の製造や花火などにも用いられる。
[鳥居泰男]
Ca(NO3)2(164.09).炭酸カルシウムを硝酸に溶かして濃縮すると四水和物が得られる.四水和物は無色の単斜晶系結晶.密度1.82 g cm-3.潮解性で,融点42.7 ℃ で結晶水に溶けて,132 ℃ で無水物となる.無水物は無色の等軸晶系粉末.融点561 ℃.密度2.36 g cm-3.潮解性で,赤熱すれば亜硝酸カルシウムになる.四水和物,無水物とも水,エタノール,メタノール,アセトンに可溶,エーテルに不溶.肥料,染色,他の硝酸塩,花火(橙赤色),爆薬の製造,レンズの原料などに用いられる.[CAS 10124-37-5:Ca(NO3)2][CAS 13477-34-4:Ca(NO3)2・4H2O]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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