磁気異方性(読み)ジキイホウセイ

デジタル大辞泉 「磁気異方性」の意味・読み・例文・類語

じき‐いほうせい〔‐イハウセイ〕【磁気異方性】

物質の磁気的性質方向によって異なること。鉄やニッケルなどの強磁性体には、磁化の向きと結晶軸との間に方向依存性が見られる。

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化学辞典 第2版 「磁気異方性」の解説

磁気異方性
ジキイホウセイ
magnetic anisotropy

一般には,磁性体の熱力学的量が結晶中の方向によって異なることをいうが,とくに単結晶強磁性体,フェリ磁性体や反強磁性体の自発磁化の向きが,結晶中の任意の方向に向けられるとき,自由エネルギーが変化することをいうことが多い.このときは磁気異方性エネルギーといわれる.磁気異方性の原因は,原子またはイオン磁気モーメントの間の双極子-双極子相互作用や,電子のスピン-軌道相互作用などである.磁気異方性エネルギーは結晶軸に対する自発磁化の方向余弦の展開関数として表され,その比例係数(複数)を磁気異方性定数という.磁気異方性定数は,一般には温度が上昇するにつれて減少し,キュリー温度あるいはネール温度以上では非常に小さくなる.磁気異方性定数は,単結晶の試料に任意の方向に磁場を作用させたときに生じるトルク,または磁気共鳴吸収測定することによって求められる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁気異方性」の意味・わかりやすい解説

磁気異方性
じきいほうせい
magnetic anisotropy

磁性体結晶において測定の方向によって磁気的性質が違っているとき磁気異方性があるという。特に強磁性体では自発磁化がとる方向によって内部エネルギーが変化している。磁化されやすい方向を磁化容易軸という。

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