祝言(読み)シュウゲン

デジタル大辞泉 「祝言」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐げん〔シウ‐〕【祝言】

祝いの言葉賀詞祝詞祝辞。「祝言を述べる」
祝い。祝儀。「年始の祝言
結婚式。婚礼。「吉日を選んで祝言を挙げる」「仮祝言
日本音楽で、祝意を表す曲。ふつう、番組の初めか終わりに演奏する。雅楽の「長慶子ちょうげいし」、浄瑠璃の「梵天国」などのほか、三番叟さんばそう物の義太夫節長唄清元などにある。祝言音曲。
祝言能」の略。
[類語]結婚結婚式ウエディング婚礼婚儀華燭の典

いわい‐ごと〔いはひ‐〕【祝(い)言】

幸福を祈願する言葉。また、慶事をことほぐ言葉。

ほぎ‐ごと【祝言/寿言/詞】

祝って言う言葉。祝福の言葉。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「祝言」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐げん シウ‥【祝言】

〘名〙
① 祝いのことば。祝詞。賀詞。
※本朝無題詩(1162‐64頃)一〇・九月尽日陪天満天神祠〈藤原敦光〉「三秋徂景帰羈路、万代祝言唱廟庭
曾我物語(南北朝頃)四「されば、箱王は、あらたま年のしゅうげんをもわすれ」
② 祝い。祝儀。
謡曲春栄(1435頃)「親と子の定めを祝ふ祝言の、千秋万歳の舞の袖」
③ (━する) 嫁入りの儀式を行なうこと。また、その式。婚礼。結婚式。
※娵入記(1443‐73頃)「御わかこの御ちの人にても、御しうげんなどにて御なり候」
④ 男女の肉体的な交わり。
※咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下「思ひよらず傾城町を通れば〈略〉是非に及ばずしうげんをつとめて」
舞楽・浄瑠璃などで、終わりに演じる曲。舞楽では「長慶子」、浄瑠璃では「梵天国」、長唄では「菊慈童」など。
※三道(1423)「先、祝言の風体、開口人出でて、〈略〉七八句謡ふべし」
※花鏡(1424)序破急之事「扇拍子より、祝言の音曲、次第次第の風体は、〈略〉用意のままなるべし」
能楽で、五音(ごおん)の一。自然によどみなくうたう曲。また、その味わい。〔五音曲条々(1429‐41頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「祝言」の意味・わかりやすい解説

祝言 (しゅうげん)

祝福の言葉ないし寿歌(ほぎうた)の意。能の用語として重要。世阿弥は音曲(謡)に,はじめ祝言,哀傷と二つの対照概念を立てたが,やがて,祝言,幽曲(幽玄音曲の意),恋慕,哀傷,闌曲の五音曲に分類した。世阿弥の女婿金春(こんぱる)禅竹は八音説を立てるが,その冒頭はやはり祝言である。すなわち,猿楽能じたいが,本来祝言をその効用として成り立っているのである。鎌倉期の代表的寺社芸能は〈延年〉と呼ばれ,脇能にもそのパターンを踏襲するものがあり,世阿弥も〈申楽延年〉〈風月延年〉〈寿福増長〉と《風姿花伝》に書いて,この芸の祝言性を強調している。脇能すなわち初番目物が,とくに祝言を本旨とすることは論をまたないが,本格の番組(五番立の番組)は一日の掉尾,切能(きりのう)のあとに,脇能の後段を祝言のためにつける。観世流では,その祝言曲として《岩船》《金札》は後段のみを演ずることにしている。略しては,一曲最終部の祝言性を盛る章句数行を謡い付(つけ)祝言という。
初番目物 →脇能
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「祝言」の解説

祝言
しゅうげん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
寛文2.5(江戸・古伝内座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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