稚児・児(読み)ちご

精選版 日本国語大辞典 「稚児・児」の意味・読み・例文・類語

ち‐ご【稚児・児】

〘名〙 (「乳子」の意)
① ちのみご。赤子。乳児。
※二十巻本和名抄(934頃)二「赤子 老子注云赤子不害物〈和名知子〉今案云含乳之義也」
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「内よりかづけ物〈略〉みへがさねのはかま、ちごのきぬ、むつきそへたり」
② やや成長した子ども。童児。小児。
※竹取(9C末‐10C初)「此児のかたちのけさうなる事世になく、屋のうちは暗き所なく光みちたり」
※枕(10C終)四二「いみじううつくしきちごのいちごなど食ひたる」
③ 寺院や公家武家などに召し使われた少年。僧の男色の対象となる場合があったところから転じて、一般に男色の対象となる少年をもいう。おちご。
※宇治拾遺(1221頃)一「是も今は昔、比叡(ひえ)の山に児ありけり」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※霧にゆらぐ藤浪(1951)〈中山義秀〉一「もの心つく頃から、寺の稚児として育てられた」
④ 神社の祭礼・寺院の法楽などの際、天童に扮して、舞ったり行列に加わって練り歩いたりする童児。おちご。
※天理本狂言・児流鏑馬(室町末‐近世初)「かならず、頭人から児をいだいて、やぶさめのやくをする」
※俳諧・桃李(1780)桃李の巻「日はさしながら又あられ降〈几董〉 見し恋の児ねり出でよ堂供養〈蕪村〉」
⑤ 鳥「ちごはやぶさ(稚児隼)」の略。
随筆貞丈雑記(1784頃)一五「児隼(チゴ)はつみに同じ大サ也。鳥とらず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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