穏便(読み)おんびん

精選版 日本国語大辞典 「穏便」の意味・読み・例文・類語

おん‐びん ヲン‥【穏便】

〘名〙 (形動)
① 穏やかなこと。尋常であること。また、事を荒だてたり、過激な措置をとったりしないさま。
※続日本紀‐天平勝宝六年(754)七月丙午「欲使寝膳如常、起居穏便
※義経記(室町中か)三「初の景気今の風情相違して見えたり。されば人には馴れて見えたり。をんびんの者にてありけるや」
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四「十ドルのないさいぎんをそくざにいだしてことおんびんにすますこと」
② 静かなこと。また、そのさま。
※正法眼蔵(1231‐53)行持下「独子ゆきて、穏便のところに坐禅す」
③ 簡単なこと。手軽なこと。便利なさま。
※雑談集(1305)三「悦て下人に隠して穏便(ヲンビン)器物に入て」
内証にすること。隠しておくさま。
※洒落本・色講釈(1801)「おいらが事はけしておんびんだよ」
⑤ 古い音韻学の用語で、「音便①」のこと。
悉曇蔵(880)五「凡呼連字上下二音相当謂為穏便

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デジタル大辞泉 「穏便」の意味・読み・例文・類語

おん‐びん〔ヲン‐〕【穏便】

[名・形動]
物事をかど立てずおだやかに行うこと。また、そのさま。「穏便処置
手軽なこと。便利なこと。また、そのさま。
「ここに五軒の娼家あり、至りて―なるあそびにして」〈寛天見聞記〉
[類語]マイルドまろやか穏やか穏当紳士的婉曲えんきょく甘美快美当たらず触らず物柔らか曖昧ほどほど控え目ソフト柔らかい柔軟しなやか軟化柔らか軟質軟弱柔いやんわりぼかすぼやかすぼやけるうやむやメロー柔和温厚温和穏健まったり丸いゆるやか

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普及版 字通 「穏便」の読み・字形・画数・意味

【穏便】おん(をん)びん

無理がなく、便利。〔貞観政要政体〕今より詔敕に穩ならざるるを疑はば、必ず須(すべか)らく執言すべし。

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