絶縁油(読み)ぜつえんゆ

精選版 日本国語大辞典 「絶縁油」の意味・読み・例文・類語

ぜつえん‐ゆ【絶縁油】

〘名〙 特に電気絶縁目的として精製して作った油。アルキルナフタレン、シリコーン油などがあり、油入ケーブル、油入変圧器などに広く用いられている。

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デジタル大辞泉 「絶縁油」の意味・読み・例文・類語

ぜつえん‐ゆ【絶縁油】

油入りの変圧器・ケーブル・コンデンサーなどに電気絶縁料材として用いる、精製された鉱物性の油。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「絶縁油」の意味・わかりやすい解説

絶縁油
ぜつえんゆ

油入(あぶらいり)変圧器、コンデンサー、遮断器、ケーブルなどの油入電気機器の絶縁および冷却に用いる油。紙で絶縁したコイルあるいは導体を油に浸して絶縁耐力を高める絶縁方式は、古くから変圧器、電力ケーブルなどに広く用いられている。用途によって要求特性は多少異なるが、不純物が少なく、電気絶縁性が優れ、化学的に安定で酸化劣化しにくいことなどが要求される。石油系原油を分留精製して得られる鉱油と、合成絶縁油とに大別される。鉱油は20世紀の初めから今日に至るまで用いられているもので、ナフテン系、パラフィン系、芳香族系の炭化水素が主成分となっている。

 鉱油は優れた絶縁油であるが、空気中で加熱されると、酸化劣化しやすい。また引火点が低く、燃えやすいなどの欠点がある。これら欠点を改良する絶縁油として、化学的に合成した合成油系絶縁油が実用化されるようになり、アルキルベンゼンやポリブテンなどがケーブルやコンデンサーなどに、ポリ塩化ビフェニルPCB)が変圧器やコンデンサーなどに使用されるようになった。このうち、熱安定性に優れた不燃性油として広く用いられてきたPCBは、日本では1972年(昭和47)に公害問題から製造が中止された。これにかわる絶縁油としてアルキルナフタレンやアルキルジフェニルエタンがコンデンサーに、シリコーン油が変圧器に用いられるようになっている。さらに、2000年(平成12)ごろから菜種油やし油といった植物油が、環境に優しい絶縁油として注目されている。

[久保田慎・大木義路]

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改訂新版 世界大百科事典 「絶縁油」の意味・わかりやすい解説

絶縁油 (ぜつえんゆ)
insulating oil

電気絶縁油ともいう。変圧器,コンデンサー,遮断器,ケーブルなどの電気機器において,電気の絶縁,発生熱の除去,冷却などを目的として用いられる油。かつては石油系鉱油がもっぱら用いられたが,近年はアルキルベンゼン系,ポリブテン系,アルキルナフタレン系,アルキルジフェニルエタン系,シリコーン油系などの合成品も用いられるようになった。これらの絶縁油のうち,最も広く用いられているのは石油系製品であり,JISによる1種の1号は油入コンデンサー,油入ケーブルなど,2号は主として油入変圧器,油入遮断器など,3号は主として厳寒地以外での油入変圧器,油入遮断器などに,それぞれ用いられる。この絶縁油として要求される品質は次のとおりである。(1)電気特性がすぐれていること。具体的には絶縁破壊電圧が30kV以上と大きく,体積抵抗率が1×1013Ωcm以上(1号)または5×1012Ωcm以上(2号)と大きく,さらに誘電正接が小さい(80℃で0.002以下)こと。(2)酸化安定性がすぐれていること。(3)冷却性能がよいこと。(4)蒸発量が少なく,引火点が高いこと。(5)流動点が-27.5℃以下(1,2号)あるいは-15℃以下(3号)と低いこと。石油からは軽質の潤滑油留分を精製し,水分を十分に除去し,粘度,流動点,引火点などを調整してつくられる。
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百科事典マイペディア 「絶縁油」の意味・わかりやすい解説

絶縁油【ぜつえんゆ】

変圧器,蓄電器,開閉器,ケーブルなどの電気機器に入れ,電気の絶縁,発生熱の冷却などの役目を果たす軽質潤滑油留分。固有抵抗が大きく,誘電損失が小さく,安定性が大きいなどの性能が要求される。→絶縁体絶縁塗料
→関連項目潤滑油

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化学辞典 第2版 「絶縁油」の解説

絶縁油
ゼツエンユ
insulating oil

[同義異語]電気絶縁油

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絶縁油」の意味・わかりやすい解説

絶縁油
ぜつえんゆ

電気絶縁油」のページをご覧ください。

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