膳所焼(読み)ぜぜやき

精選版 日本国語大辞典 「膳所焼」の意味・読み・例文・類語

ぜぜ‐やき【膳所焼】

〘名〙 寛永年間(一六二四‐四四)、近江国滋賀郡膳所(滋賀県大津市膳所)の城主石川忠総が、陶工に命じて小堀遠州指図の下に作らせた薄作り茶器遠州七窯一つで、高取焼・丹羽焼などに類する。忠総の没後廃絶したが、天明年間(一七八一‐八九)同地宮町の人、小田原伊兵衛茶臼山に窯を築き、付近の中ノ庄村梅林山の土を採って、中国の交趾(コーチ)焼に模して茶器を焼き、梅林、または梅林山の印を押した。これを梅林焼という。大正九年(一九一九再興。〔本朝陶器攷証(1857)〕

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デジタル大辞泉 「膳所焼」の意味・読み・例文・類語

ぜぜ‐やき【所焼】

滋賀県大津市膳所から産する陶器。寛永年間(1624~1644)ごろの創始で、遠州七窯えんしゅうなながまの一つに数えられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「膳所焼」の意味・わかりやすい解説

膳所焼
ぜぜやき

滋賀県大津市膳所に営まれた陶窯。江戸初期に築かれて当初は瀬田焼とよばれた可能性があり、京都の陶窯の主流を受け止めて茶陶を焼く知名度の高い窯場となり、遠州七窯(なながま)の一つとされた。その窯址については、文献が大津市瀬田大江町国分窯(かま)ヶ谷(たに)にあるとする国分窯は不詳であるが、大江窯は大津市瀬田久保江の若松神社内に発見された。おもに黒褐釉(ゆう)を用いて茶入れ、天目茶碗(てんもくぢゃわん)、茶碗などの茶具を製し、小堀遠州の茶風が強く作風に反映しているといわれる。明治維新のころいったん中絶したが、1919年(大正8)岩崎建三が再興した。

[矢部良明]

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「膳所焼」の解説

膳所焼[陶磁]
ぜぜやき

近畿地方、滋賀県の地域ブランド。
大津市で製作されている。江戸時代初期、茶人であり武将であった小堀遠州の指導でつくられた焼物を起源とする。膳所藩の御用窯として始められ、遠州七窯の一つとされる。藩内の窯の総称ともいう。しかし藩主の国替えにより藩窯としての膳所焼は短命に終わった。1919(大正8)年から膳所焼の再興がはかられた。主に茶器がつくられ、素朴で風雅な趣がある。滋賀県伝統的工芸品。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「膳所焼」の意味・わかりやすい解説

膳所焼
ぜぜやき

大津市膳所で焼かれた陶器。寛永年間 (1624~44) に膳所藩主石川忠総が茶人小堀遠州を招き,その指導を得て作陶させたといわれる。作品のほとんどは茶器で特に大江茶入れが有名。薄作りで鉄釉の釉調が美しい光沢をもつ。

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