精選版 日本国語大辞典 「若松賤子」の意味・読み・例文・類語
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翻訳家。陸奥国(福島県)会津若松生まれ。本名松川甲子(かし)。横浜のフェリス女学校高等科卒業。ただちに母校の英語教師となった。1886年(明治19)紀行文『旧(ふる)き都のつと』『木村とう子を弔ふ英詩』、訳詩などを若松賤の筆名で『女学雑誌』に発表。89年巌本善治(いわもとよしはる)と結婚。翻案小説『忘れ形見』(1890)や『いなッく、あーでん物語』(1890)、『小公子』(1890~92)などの名訳を残し、キリスト教精神に貫かれた一生を送った。没後に英文遺稿集『In Memory of Mrs. KASHI IWAMOTO』(1897ころ)、遺稿集『忘れかたみ』(1903)が刊行された。
[橋詰静子]
『鈴木二三雄「若松賤子と女学雑誌」(『フェリス論叢』1960.10・フェリス女学院短期大学)』▽『若松賤子・刊行委員会編『若松賤子――不滅の生涯』(1977・共栄社出版)』
明治期の翻訳家。本名松川甲子(かし)。通称島田嘉志(かし)。会津(現,会津若松市)の生れ。幼時に親を失って横浜の大川家の養女となり,外人宣教師の訓育下に1882年フェリス女学校高等科を卒業。89年明治女学校の巌本善治と結婚して母校の教師をやめたが,病気がちの暇をぬすんで《女学雑誌》に創作や翻訳,またキリスト教精神による教育的随筆を数多く発表。翻案小説《忘れ形見》(1890),テニソンの物語詩の翻訳《イナック・アーデン物語》(1890),90年から92年には《小公子》(バーネット原作)の翻訳など,いずれも子供の姿態を清新な口語体でとらえ,彼女の仕事の頂点を示している。94年から《日本の伝道新報》婦人欄を担当し,英文での日本紹介に努めた。
執筆者:畑 有三
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(加納孝代)
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