家庭医学館 「詐病/虚偽性障害」の解説
さびょうきょぎせいしょうがい【詐病/虚偽性障害 Malingering / Factitious Disorder】
一般に「仮病(けびょう)」ということばがありますが、試験、兵役を避ける、警察から逃れるなど明らかになにか目的があって、意図的に病気の症状をつくり出す場合を専門的には詐病(さびょう)といいます。からだの病気だけでなく、精神の病気の真似(まね)をする人もいます。
一方で、自分で症状をつくり出しては、病院で検査を受けたり、救急外来を受診することをくり返す人がいます。病気はないのに急性の腹痛を訴えて手術を要求したり、入院後、点滴の中に汚物を混入して高熱をだしたりします。このような場合を虚偽性障害(きょぎせいしょうがい)と呼びます。詐病の場合のような明らかな目的はなく、ただ「病院の患者」になりたいために、このような行動が現われるのです。
身体症状を長年にわたって産出し続ける場合は、ドイツの小説『ほらふき男爵(だんしゃく)(ミュンヒハウゼン男爵)の冒険』にちなんで、ミュンヒハウゼン症候群(しょうこうぐん)とも呼ばれます。
子どもに不必要な薬を与えて、体調を悪くさせ、救急病院に連れて行くなど、子どもを病気にさせる親もいます。これは、小児虐待(しょうにぎゃくたい)の亜型ともいえるでしょう。
[治療]
詐病の場合は、その症状が役に立たなくなった時点で、症状は消失します。
虚偽性障害の場合は、病院への入退院がライフスタイルになっている場合が多いので、早めに診断を下し、無意味な検査や試験開腹などをしないことがまず大事なことです。