説教壇(読み)せっきょうだん(英語表記)pulpit

翻訳|pulpit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「説教壇」の意味・わかりやすい解説

説教壇
せっきょうだん
pulpit

キリスト教聖堂に設けられた説教者用の壇。初期キリスト教時代に聖堂の聖歌隊席の両側に設けられたアンボと呼ばれる書見台がその起源で,礼拝において説教が規則的に行われるようになった中世にいたってそれが説教壇へと発展し,通常身廊北側に設けられるようになった。ミラノのサンタンブロジオ聖堂にある説教壇は 11世紀以前に制作されたもので,最古の作例の一つといわれる。ゴシック期からルネサンス期にかけてイタリアで制作されたものの多くは,浮彫や小彫像で飾られた色大理石製の豪華なもので,特にシエナ大聖堂,ピサの洗礼堂および大聖堂,ピストイアのサンタンドレア聖堂にあるピサーノ一家の作品,フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂にあるベネデット・ダ・マイヤーノの作品,同じくフィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂にあるドナテロの作品が有名。一方,この時期に制作された北欧の説教壇は大部分が木製で,簡素なものが多い。その後も宗教改革と反宗教改革によって説教壇の重要性は維持され,イタリアではバロックおよびロココ様式を反映した大理石製のものが,北欧ではフランドルを中心に彫刻装飾と反響板を伴った木製の豪華なものが制作された。

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世界大百科事典(旧版)内の説教壇の言及

【ミンバル】より

…イスラムの礼拝堂モスク,とくに大都市の主要モスクのミフラーブの右側に設置される説教壇で,イマームの説教やコーランの朗唱のために使用される。かつてはここから種々の布告や公文書の通達が行われたこともあり,初期のイスラム社会においては政治的・宗教的象徴であったといえる。…

※「説教壇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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