通貨規制法(読み)つうかきせいほう(英語表記)Currency Act

改訂新版 世界大百科事典 「通貨規制法」の意味・わかりやすい解説

通貨規制法 (つうかきせいほう)
Currency Act

北アメリカの植民地議会に対し紙幣発行の禁止と既発行紙幣の急速な回収を命じたイギリスの法律。1764年制定。これにより,本国商人は植民地貿易で下落した植民地発行紙幣の受取りを免れた。しかし,貴金属を産せず,対本国貿易で支払超過に苦しみ,しかも潜在的経済発展力をもっていた植民地にとっては,紙幣は交換手段であるのみならず,その発行は経済発展ならびに戦争や災害復興の資金調達手段であり,法定貨として納税や負債返済手段であった。したがって,同法による紙幣発行禁止は,不景気による破産,農産物価格の下落,税金滞納と債務不履行による投獄を続出させ,商人のみならず農民の不満をたかめ,アメリカ独立革命の下地となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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