連・列(読み)つらねる

精選版 日本国語大辞典 「連・列」の意味・読み・例文・類語

つら・ねる【連・列】

[1] 〘自ナ下一〙 つら・ぬ 〘自ナ下二〙
① 一列にならぶ。つらなる。
新撰字鏡(898‐901頃)「行々 奈良布 又豆良奴」
② つれになる。つれだつ。
※竹取(9C末‐10C初)「をとこども六人つらねて庭に出できたり」
[2] 〘他ナ下一〙 つら・ぬ 〘他ナ下二〙
① 列をつくる。ならべつづける。
※観智院本三宝絵(984)下「臈の次にまかせて座をつらね」
② 伴う。ひきつれる。
源氏(1001‐14頃)空蝉老人、これをつらねてありきけると思ひて」
③ つづかせる。つなぐ。次々とする。連続させる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六「盛りに音楽を陳(ツラ)ね」
④ あわせて一つにする。
⑤ 及ぼす。
⑥ ことばをならべる。詩歌をよむ。
※梵舜本沙石集(1283)五末「心は池の上に、月のやどりたるやうを、つらぬべし」

つらな・る【連・列】

〘自ラ四(五)〙
① 一列にならびつづく。列をつくる。他につづいて並ぶ。列席する。
書紀(720)孝徳即位前(北野本南北朝期訓)「百官(つかさつかさ)、〈略〉羅列(ツラナリ)て匝(かさな)りて」
② つながる。連続する。連繋する。仲間に加わっている。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「山阜連なり属(ツラナリ)て川田隘く狭し」
日葡辞書(1603‐04)「イチモンニ tçuranaru(ツラナル) ヒト
③ つれだつ。共に行く。
今昔(1120頃か)一七「同郷の者三人と烈(つらなり)て、水銀を堀る所に行ぬ」
④ 合わさる。接合する。一つになる。
⑤ そのことに関係する。関係が及ぶ。
ソ連中国印象(1955)〈桑原武夫〉社会主義国の女性雑感「人手不足を切りぬける政策ともつらなるにちがいない」

つらね【連・列】

〘名〙 (動詞「つらねる(連)」の連用形の名詞化)
① つらねること。また、つらねたもの。
有明集(1908)〈蒲原有明信楽瑠璃はささやく紅玉に、(さあれ苦の緒の一聯(ヒトツラネ))」
② (「連事」と書く) 猿楽・延年舞の演目の一つ。ことばや歌を長々と朗唱するもの。つらねごと。
歌舞伎で、顔見世狂言などのとき、おもな役者が、自分の名乗・物の趣意・由来・功能、名所づくしなどを、縁語・掛詞を使った音楽的なせりふで述べたもの。また、そのせりふ。
※歌舞伎・名歌徳三舛玉垣(1801)三立「爰にて時定暫くのつらねありて、目出度納る」

つら・ぬ【連・列】

〘自他ナ下二〙 ⇒つらねる(連)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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