進行性鼻壊疽(ウェゲナー肉芽腫症/非腫瘤型T細胞リンパ腫)(読み)しんこうせいびえそうぇげなーにくげしゅしょうひしゅりゅうがたてぃーさいぼうりんぱしゅ

家庭医学館 の解説

しんこうせいびえそうぇげなーにくげしゅしょうひしゅりゅうがたてぃーさいぼうりんぱしゅ【進行性鼻壊疽(ウェゲナー肉芽腫症/非腫瘤型T細胞リンパ腫)】

 進行性鼻壊疽は、鼻づまり(鼻閉(びへい))、顔面の腫(は)れ、膿(うみ)や血を含んだ鼻汁(びじゅう)(鼻水)などの鼻の症状で始まることが圧倒的に多く、発熱があって、急性蓄膿症(きゅうせいちくのうしょう)(急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん))とまちがわれやすいものです。
 そのうちに、鼻腔(びくう)を左右に分けている板に孔(あな)が開いたり(鼻中隔穿孔(びちゅうかくせんこう))、鼻がつぶれたり(鞍鼻(あんび))、口の中に潰瘍(かいよう)ができ、穿孔をおこしたりします。
 治療せずに放置すると、病変が全身に波及し、生命にかかわります。
 進行性鼻壊疽は、現在、まったく異なる2つの病気に分類されています。
 1つはウェゲナー肉芽腫症(「ウェゲナー肉芽腫症」)で、もう1つは鼻にできる非腫瘤型T細胞(ひしゅりゅうがたティーさいぼう)リンパ腫(しゅ)という悪性リンパ腫です。
 この2つは、症状がほぼ同じですが、ウェゲナー肉芽腫症は免疫(めんえき)の病気、非腫瘤型T細胞リンパ腫は悪性腫瘍で、治療法がまったく異なります。
 そのため、治療を始める前にどちらの病気であるか鑑別することが重要です。
検査診断
 ウェゲナー肉芽腫症は、血清中(けっせいちゅう)に抗好中球細胞質抗体(こうこうちゅうきゅうさいぼうしつこうたい)という特殊な抗体が出現することがわかり、診断が容易になりました。
 非腫瘤型T細胞リンパ腫も、特殊染色(とくしゅせんしょく)による病理組織診断の進歩によって的確な診断が可能になりました。
●治療
 ウェゲナー肉芽腫症には、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬と免疫抑制薬(めんえきよくせいやく)による治療が、非腫瘤型T細胞リンパ腫には放射線治療化学療法による治療が行なわれています。
 これらの治療によって、両方ともに以前より格段によく治るようになっています。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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