過剰防衛(読み)かじょうぼうえい

精選版 日本国語大辞典 「過剰防衛」の意味・読み・例文・類語

かじょう‐ぼうえい クヮジョウバウヱイ【過剰防衛】

〘名〙 正当防衛として許される限度をこえた反撃行為違法行為とされるが、情状によって刑が軽減または免除されることがある。
※君の名は(1952‐54)〈菊田一夫〉三「警察は、過剰防衛の疑いがかなりあるっていうんです」

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デジタル大辞泉 「過剰防衛」の意味・読み・例文・類語

かじょう‐ぼうえい〔クワジヨウバウヱイ〕【過剰防衛】

正当防衛としてなされる行為が、防衛の程度を越えていると判断されるもの。違法行為ではあるが、情状によって刑が軽減・免除されることがある。→正当防衛

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「過剰防衛」の意味・わかりやすい解説

過剰防衛
かじょうぼうえい

急迫不正の侵害に対し反撃したが、防衛の程度を超えた場合をいう(刑法36条2項)。正当防衛とは異なり違法阻却事由にはあたらないため、無罪にはならないが、情状により、その刑を減軽または免除することができる。

 過剰防衛の要件は、(1)不正の侵害があること、(2)防衛の程度を超えたこと(過剰性)、(3)防衛の意思があること、(4)過剰性の認識があること、である。このうち、(2)と(4)がとくに問題となる。(2)に関して、急迫不正の侵害に対する反撃として、客観的に「防衛の程度を超えた行為」であることを要する。この「防衛の程度」について、判例には「必要最小限」という表現が用いられることがあるが、緊急避難の場合のように「唯一の方法」であることを意味しないし、その結果についても厳密な法益均衡は要するわけではない。つぎに、(4)に関しては、このような過剰性について行為者が認識していることを要する。したがって、反撃にあたって過剰性の認識がなく、相当な防衛行為をするつもりで誤って過剰な結果を惹起(じゃっき)した場合は、誤想防衛一種として過失犯が成立するに過ぎない。

[名和鐵郎]

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四字熟語を知る辞典 「過剰防衛」の解説

過剰防衛

正当防衛として許される限度をこえた反撃行為。違法行為とされるが、情状によって刑が軽減または免除されることがある。

[使用例] 警察は、過剰防衛の疑いがかなりあるっていうんです[菊田一夫*君の名は|1952~54]

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百科事典マイペディア 「過剰防衛」の意味・わかりやすい解説

過剰防衛【かじょうぼうえい】

正当防衛の程度を越えた防衛行為。情状により刑を減軽または免除される(刑法36条2項)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過剰防衛」の意味・わかりやすい解説

過剰防衛
かじょうぼうえい

正当防衛」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の過剰防衛の言及

【正当防衛】より

…この点で,緊急避難の場合と異なっている。しかし,ごく軽微な法益を守るために重大な法益を侵害するときは,もはや正当防衛ではなく,過剰防衛とされる。この場合は,違法性は阻却されず犯罪は成立するが,非難可能性・責任が減少するので刑を減軽または免除することができる(36条2項)。…

※「過剰防衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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