配当可能利益(読み)はいとうかのうりえき(英語表記)profit available for dividends

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「配当可能利益」の意味・わかりやすい解説

配当可能利益
はいとうかのうりえき
profit available for dividends

企業が得た利益のうち,株主配当として分配しうる額をいう。倒産時における債権者に対する株主の責任が出資額を限度とする有限責任とされているため,商法はむやみな配当による資産の社外流出を抑制して,債権者を保護する目的で,配当と役員賞与合計金額の上限を規定している。その限度額は,貸借対照表の純資産額から,(1) 資本金,(2) 既存の資本準備金と利益準備金,(3) 今回の配当に当たって積立てるべき利益準備金,(4) 繰延資産のうち開業費・試験研究費・開発費の合計が (2) と (3) の合計を超過する場合の超過額,を差し引いた額として計算される。

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世界大百科事典(旧版)内の配当可能利益の言及

【配当】より

… ところで株式会社が配当することのできる利益については,その営業年度に得た利益を基礎にして配当限度額を定める立法も考えられるが,日本の商法はこのような立場を取らず,貸借対照表上の純資産額(資産から負債を差し引いた額)を基礎にし,それから一定の金額を差し引いた額を配当限度額としている。すなわち,純資産から資本金,既存の資本準備金,利益準備金およびその期に積み立てなければならない利益準備金を控除し,さらに特定の目的で自己株式を買い受け,保有するときは,資産の部に計上したその自己株式の金額を控除した額を配当可能利益とする(商法290条1項1~3号,5号。〈自己株式準備金〉の項参照)。…

※「配当可能利益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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