能のシテ方、金剛流宗家。
[増田正造]
(1886―1951)明治の京阪能楽界に君臨した名人の金剛謹之輔(きんのすけ)(1854―1923)の長男として京都で生まれる。京都の金剛家は本来野村姓で、禁裏御用の能役者の家柄。23世金剛右京の遺言により、1936年(昭和11)宗家は断絶したが、同年他の四流宗家の推薦により、金剛巌が坂戸金剛とは別の金剛流をたて初代宗家となった。上方(かみがた)風の優艶(ゆうえん)さに闊達(かったつ)さを加えた芸風。能面や能装束の研究でも名高く、照明を用いた新様式能なども試みた。著書に『能楽古面大観』『能と能面』ほか。
[増田正造]
(1924―98)初世の三男。前名滋夫(しげお)。品格ある優美な芸風。長男の永謹(ひさのり)(1951― )らと京都で金剛会を主宰した。1994年度(平成6)日本芸術院賞受賞。
[増田正造]
『金剛巌監修『金剛家秘宝・幽玄の美』(1982・淡交社)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…能のシテ方の流派名。坂戸郷と呼ばれた奈良県生駒郡平群(へぐり)町付近を本拠地として法隆寺に奉仕した坂戸座(鎌倉時代から記録所見)が源流らしく,室町初期には春日興福寺に勤仕する大和猿楽四座の一つとなった。1721年(享保6)に幕府へ提出した書上(かきあげ)および家元の系図では,足利義満時代の坂戸孫太郎氏勝(1280‐1348)を流祖とし,金剛三郎正明(1449‐1529)から金剛姓とするが,確実なことはわからない。…
※「金剛巌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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