鉄族元素(読み)テツゾクゲンソ(英語表記)iron group element

デジタル大辞泉 「鉄族元素」の意味・読み・例文・類語

てつぞく‐げんそ【鉄族元素】

周期表のⅧ族のうちコバルトニッケルの3元素総称。いずれも強磁性を示し、化学的性質が似て、反応性に富む。

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精選版 日本国語大辞典 「鉄族元素」の意味・読み・例文・類語

てつぞく‐げんそ【鉄族元素】

〘名〙 周期表8~10族の Fe (鉄)・ Co (コバルト)・ Ni (ニッケル)の三元素の総称。灰白色ないし銀白色金属で強磁性をもつ。純金属はかなり柔らかいが、少量の不純物で著しく硬さを増す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄族元素」の意味・わかりやすい解説

鉄族元素
てつぞくげんそ
iron group element

周期表中第8、9、10族のうち第一遷移系列に属する鉄、コバルト、ニッケルの3元素の総称。地殻中には広くまた多量に存在するが、コバルトは存在量が比較的少ない。地球内部は相当量のニッケルを含む鉄合金であると考えられている。隕鉄(いんてつ)も同じような鉄合金である。いずれも銀白色の金属。融点はかなり高い。もっとも著しい特徴は強磁性物質であるということで、とくに鉄は代表的な強磁性物質である。いずれも化学的性質は似ており、かなり反応性に富み、酸と反応して水素を発生し2価の塩を生ずる。酸化数はⅡおよびⅢが普通であるが、そのほか鉄ではⅥまで、コバルトではⅤまで、ニッケルではⅣまでが知られている。またいずれも安定な錯化合物をつくり、それらは有色であることが多い。

[中原勝儼]

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改訂新版 世界大百科事典 「鉄族元素」の意味・わかりやすい解説

鉄族元素 (てつぞくげんそ)
iron group elements

周期表の第4周期中央部にあるⅧ族に属する鉄Fe,コバルトCo,ニッケルNiの3元素は,互いに性質のよく似た重金属なので,鉄族元素と総称される。金属はすべて強磁性で,イオン化傾向も類似し,ふつう2価または3価のイオンとなる。これらのイオンはどれも錯体を作りやすく,その中には種々の美しい色彩をもつものが多い。これらの色彩のもととなる可視部およびその付近の紫外・赤外部の吸収スペクトルや,錯体の磁性(常磁性のものも反磁性のものもある)などの諸物性と,錯体の化学構造との関係については多くの研究があり,現在の無機化学の最も興味深い研究領域の一つとなっている。鉄は地殻の約5.6%を占め,コバルト,ニッケルははるかに少ないが,それぞれ工業的に鉱石から取り出され,金属や合金としても化合物としても広範な用途をもつ。それらの中には種々の化学反応の触媒となるものも少なくない。
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