長谷川勘兵衛(初代)(読み)はせがわ・かんべえ

朝日日本歴史人物事典 「長谷川勘兵衛(初代)」の解説

長谷川勘兵衛(初代)

没年万治2.3.4(1659.4.25)
生年:生年不詳
江戸前期,江戸における歌舞伎大道具師の元祖江戸日本橋宮大工上谷甚三の子。幼名清五郎。寛永1(1624)年に猿若(中村)勘三郎の猿若(のちの中村)座が江戸中橋南地(中央区日本橋)に建てられたのが,江戸における常設の歌舞伎劇場のはじめである。次いで市村座,森田(のちに守田)座,山村座(江島生島事件で廃絶)の4座が公許されたが,初代勘兵衛は,没年にいたるまで中村座を起点として各座に出入りし,書割出道具類を請け負って大道具全般を担当する基礎を固めた。初代の子2代目の代の寛文4(1664)年に市村座で引幕が考案され,それまでの放れ狂言にかわって多幕物の続き狂言が誕生し,柴垣や立ち木を含めた道具建てが設けられるようになったという。以来約350年にわたり,代々の勘兵衛によって,家業が継承されている。<参考文献>17代目長谷川勘兵衛編『大道具 長谷川勘兵衛』

(藤波隆之)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「長谷川勘兵衛(初代)」の解説

長谷川勘兵衛(初代) はせがわ-かんべえ

?-1659 江戸時代前期の歌舞伎大道具方。
江戸日本橋の宮大工の子。明暦のころ中村座などで書割(かきわり)や出道具をつくった。江戸の専門道具方の祖といわれる。以後この名は現代まで17代をかぞえる。万治(まんじ)2年3月4日死去。本姓は上谷。幼名は清五郎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android