間奏曲(読み)かんそうきょく

精選版 日本国語大辞典 「間奏曲」の意味・読み・例文・類語

かんそう‐きょく【間奏曲】

〘名〙 もと教会で讚美歌、詩篇に挿入されたオルガン小曲に起源し、劇や歌劇などの幕間に演奏される軽い音楽。また、楽曲歌曲、また、詩の朗読などの間に挿入して演奏される器楽曲小品

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デジタル大辞泉 「間奏曲」の意味・読み・例文・類語

かんそう‐きょく【間奏曲】

劇や歌劇の幕間まくあいに演奏される音楽。インテルメッツォ
自由な形式器楽小品。インテルメッツォ。

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改訂新版 世界大百科事典 「間奏曲」の意味・わかりやすい解説

間奏曲 (かんそうきょく)

大きな楽曲中に挿入された音楽のこと。楽種により各種の形態があり,歴史的にさまざまな名称で呼ばれた。(1)教会音楽ではとくにインテルルディウムinterludiumの名で,賛歌などの間に奏される短いオルガン曲をいう。(2)16世紀においてとくに悲劇などの幕間に行われた音楽。インテルメディウムintermediumと呼ばれる。劇の筋や気分とは無関係に催され,独唱や合唱はもとより,器楽伴奏のバレエなども含まれた。これはやがてオペラの成立を導いた。このような幕間劇の伝統はオペラ成立後も息づき,オペラの劇中劇として独自の筋と内容をもって演じられた。(3)劇やオペラの幕間に奏される劇間音楽で,通例,器楽曲。17世紀後半以降,インテルメッツォintermezzo,アクト・チューンact-tune,アントラクトentr'acteなどの名でも呼ばれ,シューベルトの《ロザムンデ》,メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》などの間奏曲は代表的なものである。これらは単独に演奏されることも多い。(4)19世紀の性格小品キャラクター・ピース)の一種で,シューマンの《ウィーンの謝肉祭騒ぎ》のように連作曲中の1曲として収められることもあるが,表題との関連性をもたない場合も多い。
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百科事典マイペディア 「間奏曲」の意味・わかりやすい解説

間奏曲【かんそうきょく】

大きな楽曲中に挿入された音楽。ヨーロッパ音楽史上各種の形態がある。(1)教会音楽では特にインテルルディウムinterludiumの名で,賛歌や詩編の詩句の間に奏される短いオルガン曲をいう。(2)主に16世紀イタリアにおいて,世俗的演劇,特に悲劇の幕間に挿入された娯楽的な音楽ないし小規模な劇。インテルメディウムintermediumと呼ばれる。筋立てとは無関係に催され,独唱や合唱のほか器楽伴奏の舞踊も演じられた。これはカメラータのメンバーによるオペラの創造を促し,こうした幕間劇はオペラにも引き継がれる。オペラの劇中劇として半ば独立した筋をもって演じられ,その規模も次第に拡大,やがて18世紀前半には劇の主要部分がオペラ・セリアへ,劇中劇がオペラ・ブッファへと分岐した。(3)劇やオペラの各幕をつなぐ曲で,通常は器楽曲。17世紀後半以降,インテルメッツォintermezzo,アクト・チューンact-tuneなどの名でも呼ばれた。シューベルトの《ロザムンデ》の間奏曲などが知られる。(4)19世紀ロマン派以降の抒情的な性格小品(キャラクター・ピース)。ブラームスの作品が著名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「間奏曲」の意味・わかりやすい解説

間奏曲
かんそうきょく

劇、大規模な楽曲、典礼などの間に挿入される音楽。典礼では、イムヌスや詩篇(しへん)の詩句の間に奏される短いオルガン音楽のことをいう。劇の幕間(まくあい)に奏されるものには、時代によって種々の形があり、16世紀の劇の幕間音楽インテルメッツォ、また18世紀のオペラ・ブッファへとつながる幕間劇インテルメッツォなどがある。

 17世紀以降に現れた劇やオペラの純然たる幕間音楽は、独立した楽曲として演奏されることも多い。多楽章による器楽の大曲には、楽章の間に経過的な小曲が間奏曲としてしばしば置かれる。そのほかこの名称は、19世紀以後の叙情的な独立した小品にもつけられることがある。

[今谷和徳]

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