降伏文書(読み)こうふくぶんしょ

改訂新版 世界大百科事典 「降伏文書」の意味・わかりやすい解説

降伏文書 (こうふくぶんしょ)

1945年9月2日,日本がポツダム宣言受諾して連合国に降伏することを正式に承認することを示すために調印された文書。調印は東京湾上のアメリカ戦艦ミズーリ号上でなされ,日本側からは天皇および日本国政府を代表して重光葵(まもる)外相が,大本営を代表して梅津美治郎(よしじろう)参謀総長が調印し,連合国側からは最高司令官マッカーサーを筆頭にアメリカ,中華民国,イギリス,ソ連,オーストラリア,カナダ,フランス,オランダ,ニュージーランドの各代表が調印した。

 文書はポツダム宣言の受諾とその誠実な履行,日本軍の無条件降伏,日本軍・国民の敵対行為の停止,財産破壊の防止,連合国の俘虜および被抑留者の解放・保護・輸送などを規定し,かつ占領統治の基本方針として天皇および日本国政府職員がとくに命令のない限りその任務にとどまり,連合国最高司令官の布告・命令・指示に従って国家統治の任に当たるという間接統治方式を規定した。大本営はこれをうけて軍に降伏を命ずる一般命令第1号を布告した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「降伏文書」の意味・わかりやすい解説

降伏文書
こうふくぶんしょ
instrument of surrender

戦争終結にあたり,戦敗国が戦勝国に対して敵対行為の中止と,戦勝国の指令に服することを約束する文書。特に第2次世界大戦の終結にあたり日本が連合国に対して調印した文書をいう。法的に戦争関係の全面的解決を定める講和条約とは異なる。日本は 1945年9月2日,東京湾上のアメリカ戦艦『ミズーリ』上で日本側全権外務大臣重光葵,陸軍参謀総長梅津美治郎が降伏文書に調印し,日本軍隊の無条件降伏と敵対行為の中止,ポツダム宣言の誠実な履行,日本政府の統治権の連合国最高司令官への従属などを約した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「降伏文書」の解説

降伏文書
こうふくぶんしょ

1945年(昭和20)9月2日,第2次大戦の終結にあたって日本と連合国の代表が調印し,降伏を最終的に決定した文書。重光葵(まもる)外相,梅津美治郎(よしじろう)参謀総長,マッカーサー連合国軍最高司令官,米・英・ソ・中・豪・加・仏・蘭・ニュージーランドの9代表が署名。ポツダム宣言の受諾とその誠実な履行の確認を骨格とする同文書は,日本軍の無条件降伏と全面的停戦,連合国軍捕虜の解放などについて規定すると同時に,連合国軍最高司令官による直接かつ統一的な日本の占領管理体制を規定。休戦協定と講和条約の予備的文書という二重の性質をもつ。

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