音楽用語ダスの解説
電子オルガンの原理的な要素が搭載された最初の電子楽器は、1906年にアメリカで制作されたテル・ハーモニアムである。ただしこれは楽器とはいっても、家一軒ほどの大きさで重さ200tという巨大なもので、一般化はされなかった。1920年代になってテレミン、オンド・マルトノなど実用化される電子楽器が現れたのと時期を同じくして、最初期の電子オルガンも出始めた。1929年にはアメリカの時計制作者、ローレンス・ハモンドによって初期の代表的な電子オルガンであるハモンド・オルガンが発明され、1935年に市場に出るや急速に普及した。このほかにも1930~40年代に多くの電子オルガンが開発され、教会でパイプ・オルガンの代用に使われるなどした。第2次世界大戦後の40年代半ば以降、電子オルガンは世界的なブームを迎え、各国で大量生産・技術面での競争が行われた。日本の電子オルガンは1958年に日本楽器、日本電気、NHKの技術協力によって試作され、これと前後してビクターから商品としては国産第1号の電子オルガンが発表された。翌1959年にヤマハの電子オルガン(エレクトーン)が発売され、教会のパイプ・オルガンの代用というイメージを抜け出したエンターテインメント用の楽器としての電子オルガンが本格的に打ち出されるようになった。現在のところ電子オルガンは、使用される音楽のジャンル、目的や形態によって、パイプ・オルガンの代用としてのチャーチ・モデル、劇場やコンサート・ホールでの使用に耐える高級機種であるシアター・モデル、一般家庭にイージー・プレイの楽器として広く普及している小型のスピネット・オルガン、ジャズのコンボ編成で合奏用に用いられるコンボ・オルガンなどに分類されることが多いが、電子オルガン全体の性能が飛躍的にアップした近年では、シアター・モデルとスピネット・オルガンの差が以前よりなくなってきている。電子技術の目覚ましい革新に合わせて、発音方式・操作性など、著しく変化を遂げた電子オルガンであるが、2段(時に3段)の手鍵盤に1段の足鍵盤という基本的な仕様が比較的安定して保たれていることは、機能が多岐にわたるため、ともすればとらえどころのなくなりがちなこの楽器を、奏法の面から特色づける重要な要素になっているともいえる。
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